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見える化の一歩先を行く未来提案型ツール「e-kakashi」がイベント開催

次世代農業イベント「かかし★大作戦」が開催され、農業IoTサービス「e-kakashi」の新たなサービスが2つ紹介された。どちらも、単なる“見える化”にとどまらない、一歩先を行く内容となっている。

データをAI分析して
未来を提示する

7月に開催された次世代農業イベント「かかし★大作戦」では、PSソリューションズが展開する農業IoTサービス「e-kakashi(イーカカシ)」の新たなサービスが2つ紹介された。

e-kakashiは「農業を科学にする」をコンセプトとした支援サービス。センサーなどによって圃場で観測した環境データを、クラウドに収集する。集めたデータは、スマホやパソコンを通して閲覧する“見える化”だけでなく、e-kakashi独自のAIを活用して、植物科学に基づき分析するのがポイントだ。


e-kakashiのセンサー

今回紹介された新サービスの1つ目は、栽培アドバイザー「e-kakashi Ai(アイ)」。圃場の環境データを、現場のセンサーで収集するのではなく、日本気象協会が開発した「1km メッシュ気象情報」から取得する。1km四方という精細な気象予測情報によって、気象災害や病害虫発生の危険性を予測して、予防方法の事前提案などを行う。

2つ目の新サービスは、遠隔制御サービス「e-kakashi Tetori(テトリ)」。園芸施設(ビニールハウス)の窓に、専用の開閉モニターを設置することで、遠隔地からでも窓を開けたり閉めたりできる。突然の雨や、ハウス内の気温が上がりすぎたときなどに、現場に行くことなく対応可能となる。既存の施設に後付けできるため、低コストで導入できる。

e-kakashi Aiも、Tetoriも、いずれも単に圃場の環境データをチェックするだけでなく、次のアクションにまで踏み込んでいるのが面白い点だ。

先進的な流通トップらが
トークセッションに登場

イベント「かかし★大作戦」ではトークセッションが行われ、PSソリューションズの戸上崇氏と、都市型八百屋「旬八青果店」を展開するアグリゲートの左近克憲CEO、農地の契約仲介事業を行うファームフェスの小平勘太社長の3名が壇上に上がった。


3名によるトークセッションの様子

e-kakashiの今後の可能性について、左近氏は「仕入れ農家の技術を整理・体系化でき、産地からの出荷情報の予想もできるようになるのでは」、小平氏は「農場と契約者を結ぶコミュニケーションツールとして活用してみたい。特にe-kakashi Aiは、農業未経験者への農育にも使える」などと期待を込めた。

これを受けて戸上氏は、すでに農業高校などでe-kakashiを活用した科学的教育を行っていることを紹介したうえで、「今後は小学生でもゲーム感覚で生産過程を学べるようなツールにしていきたい」と意気込みを述べた。


長島農園(横浜金沢)の黒宝キクラゲの試食

そのほか、イベント会場では横浜金沢の長島農園で採れた黒宝キクラゲ(生キクラゲ)が振る舞われ、参加者が舌鼓を打った。長島農園は今年からe-kakashiを導入しており、もちろんこのキクラゲ栽培にも活用しているという。

DATA

e-kakashi

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