グッドデザイン賞を受賞したトラクター「イーグルデザイン」に込められたメッセージとは?
2021/02/10
三菱農業機械の『EAGLE DESIGN』が「グッドデザイン賞」を受賞した。この『EAGLE DESIGN』は、三菱農業機械が農業の未来に込めた想いを表現している。
三菱農業機械が描く
農業の未来とは
2020年度のグッドデザイン賞は、デザインにおいて他者や社会、環境などについて考え、それに応えることを示す「交感」をテーマに実施され、厳正な審査を経て受賞作品が決定された。その受賞作品のなかの一つが三菱農業機械の『EAGLE DESIGN』だ。デザインを担当したのは同社の開発・設計部だ。
(左から)開発・設計部デザイン課主任:渡辺利宣さん、開発・設計部デザイン課長:馬場馨一さん、開発・設計部トラクター1課長:渡部英知さん
「以前の当社ではデザインは機体ごとに行っており、シリーズのイメージや流れを設計者がそれぞれに解釈してデザインしてきました。そのため目新しさは出しやすいのですが、一目で当社製と分かってもらえるような統一感はありませんでした」と、三菱農機が抱えていた課題を語ってくれたのは馬場さん。そこで3年もの期間を掛けてデザインの統一を実施した。
その成果が表れたのが『EAGLE DESIGN』を採用したトラクターシリーズである。三菱農機が『EAGLE DESIGN』に込めた想いは、審査委員にも以下のように評価された。
『人手不足が深刻な農業において、効率性や効果だけでなく、農作業のイメージの向上は大きな課題である。機能としては、安心感のある同シリーズの農耕用トラクターに、伝統や誇り高さというイメージを重ね、大胆な改良に成功した。
赤と黒の配色による力強さや清潔感の表現、ライトなどの配置によるスタイリッシュさ、社のエンブレムの配置による安心感などが加わり、作業者にとっても、喜びや誇りを与えるデザインとなっている。外装デザインの見直しにより、製品の機能性に対する期待値、農作業に対するイメージの向上にもつながっている』。
三菱農業機械が誇る伝統と技術力を象像するスリーダイヤがフロントマスクの中心に配置されている。
確かな性能と優れたデザイン性を有する農機を提供することで農業のイメージを変える。それにより日本農業の繁栄に末永く貢献したい……それが三菱農機の願いなのだ。好評を受けて、『EAGLE DESIGN』は現在ではトラクターのみならず、田植機やコンバインにも採用されるようになった。三菱農業機械の想いは、ユーザーにも届き始めている。
三菱農業機械が掲げた
新たなブランディングの
キーワード
統一したデザインやスタイリングを探るなかで、コンセプトワークとして自社のイメージを言語化して見直した。スリーダイヤが象徴するのは[技術力][伝統][グローバル企業]。三菱農業機械の製品は[頑丈でパワフル]。そして自分たちが追求する未来の企業像を[常に挑戦し、成長する企業][先を見据え、常に繁栄を続ける企業]といったキーワードに集約した。
それらのキーワードを鷲(イーグル)のモチーフに落とし込み、『EAGLE DESIGN』が生まれたのだ。渡辺さんは「鷲の凛とした姿が技術や伝統に対する自信と誇りを、大きな翼はグローバルな企業像を、鋭い爪や嘴からはパワフルで耐久性に優れた製品群。そして、ヒトの8倍もある視力については洞察力や先見性を想起させます」と解説してくれた。
『グッドデザイン賞』とは、デザインによって私達の暮らしや社会をより良くするための顕彰制度。国内外のデザイナーや建築家、専門家など94名の審査委員による厳正な一次・二次審査を経て受賞が決定した。
DATA
右から
GA/GAK 3,886,300~8,166,400円
GS 1,768,800~3,562,900円
GM 3,556,300~7,176,400円
GCR1380 16,500,000~17,897,000円
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文:川島礼二郎
AGRI JOURNAL vol.18(2021年冬号)より転載
Sponsored by 三菱マヒンドラ農機株式会社