道工具・資材

<体験レポート>ゴルフカートは町ナカのブドウ農家で使えるか?

農業の現場で運搬用にゴルフカートを活用する農家が増加中だ。実際に使い勝手はどんなものなのか、大阪府柏原市のブドウ農家がモニター体験中。使ってみて感じたメリット・デメリットは?

農業でも相性が良い
小回りが利くゴルフカート

日々の農作業のなかで、圃場間の資材や収穫物などの運搬には、軽トラやミニバンなどを使用している方々が多数だろう。そんななか、じわじわと活用の事例が増えているのが、ゴルフカートである。


Club Car 2人乗りゴルフカート「プレシデント」

運転免許を持っていないスタッフも使えると作業効率が良い、果樹の間を収穫しながら移動したい、圃場内でのちょっとした運搬に使える移動車が欲しい……などというニーズに対応できるのだという。充電式で家庭用コンセントがあれば使えるため、導入も簡単である。

今回は世界シェアトップのゴルフカートブランド「Club Car」の販売・レンタルを日本国内で行うトランス・パシフィック・リンクス・ジャパンの協力のもと、2社の農業法人に体験導入を行ってもらった。

ブドウ農家で体験導入!
使い勝手は?

今回Club Carのゴルフカートを体験導入したのは、西日本最古のワイナリーとして大阪府柏原市で104年間、果樹園経営とワイン醸造を行うカタシモワイナリー。除草剤を使わず、減農薬、有機栽培で育てたブドウから質の高いワイン造りを行い、日本国内や海外のコンクールで数々の賞を受賞している。大阪の新名物とも言われる「たこシャン」といえば、知っている人も多いのではないだろうか。


カタシモワイナリーの代表取締役 4代目の高井利洋さん(写真右)と、5代目の高井麻記子さん(写真左)。

かつて、醸造所が建ち並ぶワインの町であった柏原市で、現在ワイナリーを営むのはカタシモワイナリーの1軒のみ。地域の文化を守るためにも、耕し手がいなくなった農園を引き受けながら、自社農園と地域農家のブドウを使用して、個性ある新商品を次々と生み出している。

「ワイナリーとブドウ畑の間の移動や収穫物の運搬、定期的に行っているイベント会場内でのワインの運搬に活用してみたい!」ということで、Club Carの2人乗りカート「プレシデント」をナンバープレート付きで納車。カラーはワイナリーのある歴史ある町なみに溶け込むアイボリーだ。(Club Carのゴルフカートは、カラーリングはもちろん屋根の有無、荷台の大きさなど、カスタムして注文が可能。)


ワイナリーと「プレシデント」。歴史と新しさが同居するカタシモワイナリーのアイコンにもなりそうだ。

 

細い道や坂道は走れる?

「プレシデント」は車幅120cm、全長232cm。軽トラの車幅約148cm、全長約340cmと比べると、一回り小さいサイズ感である。また最大傾斜角度は20%(11.3度)となっており、普通自動車の基準には届かないものの、一般的に急勾配と言われる坂が約8〜10%以上であることを踏まえると、ほとんどの坂道は走ることができるだろう。

実際の走り心地はどうだったのだろうか?


ゴルフカートで山の上にある畑に行った帰り道、住宅の間の坂を下る。

高井麻記子さん(以下高井さん):ワイナリーからブドウ畑に行くまでの道のりには、入り組んだ細い道や坂道があります。坂道については、急な傾斜でもぐいぐい進んでくれます。このゴルフカートがペダルを踏むと進む、離すと止まるという仕組みなので、特に細かいことはせずに踏み続けていれば勝手に上ってくれるので、全く問題なく運転できました。あえていうなら、急な上り坂で坂道発進しなければいけない時に、サイドブレーキを下ろしてからペダルが踏み切れるまでの間にどうしてもロスがあるので、ちょっと後ろに下がってしまうのが慣れるまでドキドキしました(笑)。その他は運転が苦手な私も心配なかったです。


ブドウ畑の間の道。軽トラでは入れなくても、ゴルフカートなら余裕がある。

高井さん:普段軽トラだと擦りそうで入れない狭い道も、普通に通れています。なので住宅地のなかに点在している畑の見回りは私も代表も、このカートで出かけますよ。走っていると道行く方々に「いいの乗ってるわね!」とか「乗ってみたい!」とか、たくさん声をかけてもらいます。本当は坂の一番上のほうにある畑までカートで入っていけると収穫の時に便利なのですが、車幅がギリギリ入らず、断念しました。現状、ある程度の広さがある坂の下で軽トラを停めて、そこからスタッフが歩いて上がって、重い収穫カゴを持ってまた戻ってくるということをしているので、ここにゴルフカートが使えたら本当に重宝すると思います。

公道は走れる?

ゴルフカートは、そのままでは公道で走ることができない。しかしナンバープレートを取得すれば、走行は可能だ。

高井さん:うちの場合、一度公道に出た方が効率的に圃場間をまわれること、また市内で行うワインイベントの会場へも乗っていきたかったので、とても助かりました。ただ、速度制限(メーカー安全規制)がかかっているので、車通りが多い道だと後続車に追いつかれます(笑)。うちの場合は長い距離を走る訳ではないですし、もし後続車が来たら端によければ良いので、取り立ててストレスや心配はなかったです。

人混みの多いイベントでも
小回りが利いて便利!

柏原市、そして大阪のワイン文化を次の世代に繋げ、新しくかたちづくっていくために、カタシモワイナリーはワイン造りだけでなく、消費者を呼び込むイベント開催にも力を入れている。

高井さん:毎年恒例で、春に「おおさかワインフェス」という地域を挙げたワインイベントを開催しています。今年は数5300人のお客様にお越しいただきました。ワイナリーから少し離れた河川敷が会場となっているんですが、会場内で追加のワインや備品を運ぶ時にゴルフカートが活躍しました。お客様が居る中を軽トラで入っていくのは危険ですし、かといって台車で運んでいたら時間がかかってしまうので毎年悩みの種だったんですが、カートがちょうど良いんです。小回りが利くのでスイスイと走れますし、見た目も可愛いのでPRにもなります。電気自動車なので排気ガスが出ないのも良いですね。カタシモワイナリーのステッカーを車体の横に貼って、皆さんに名前を覚えていただくのにも使わせてもらいました。


今回、荷台ボックスはW109×D76×H23cmのものを使用した。

 

今回のまとめ

・坂道:急勾配の坂でも問題なく走れる。

・細い道:軽トラなどクルマがギリギリ入れなかった細い道を走れる。

・公道:制限速度があるが、ナンバープレートを取得すれば走れる。

・その他:人混みのなかでも小回りが利いて安全に走れる。車体が目立つため、農場のPRとしても使える。

ゴルフカートは農場の敷地内での運搬作業に活用する以外にも、カタシモワイナリーのように軽トラやミニバンが入れない細い道を通る必要がある場合や、イベントなどの人混みのなかで運搬を行いたい場合に役立つことがわかった。また、見た目のオシャレさから、農場のPRとしても活用できるようだ。

次回は、果樹園での収穫にゴルフカートを活用した事例をレポート。お楽しみに!

問い合わせ

トランス・パシフィック・リンクス・ジャパン株式会社
TEL:03-3524-8668


photo:Hioromi I

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