いちご栽培の養液システムを因数分解! プロから教わる高設栽培の設備
2021/05/12
イチゴ栽培の専門家による連載第5弾の前編。今回はいちご栽培の養液システムについて紹介していこう。養液システムは養液栽培を行うときに使う液体肥料を与える設備一式を指す言葉。いちごの高設栽培を行う上で重要な要素だ。
連載第1回 前編『〈基礎知識〉いちごの養液栽培とは? 特徴や他栽培方法との違いを解説』はコチラ!
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養液システムを因数分解!
どんなもので作られているの?
まずは、養液システムを因数分解して構成要素を見てみましょう。養液システムは主に以下の要素で構成されています。
制御盤
・センサー
・タイマー
・流量計
液肥混入機
・電磁弁
・手動弁
・液体肥料
・原水タンク
・液肥タンク
潅水部材
・フィルター
他、ポンプ、塩ビ管、廃液処理部材、システムの枠
これらをすべて自社で作成しているメーカーはなく、色々なメーカーの部材を組み合わせて養液システムを作り、販売しています。自分で一つ一つの部材を組み合わせて作ることもできますが、それでは大変なので、セットになった養液システムを買うのがおすすめです。簡単なものであれば手作りも可能です。
制御盤
制御盤で液体肥料を流す量や頻度、タイミングを制御します。その制御に使う要素は、いくつかあります。それぞれに特徴やメリット、デメリットがあるので、栽培や経営の希望に合わせて選んでください。
タイマー(時刻)
コスト的にはタイマーが最も安いでしょう。タイマーの場合は人間が決めた時刻に液肥が流れるようにします。
日射量
日射量を使う場合は日射センサーを使います。光合成や蒸散は太陽の光の強さの影響を受けるので、その日射量に合わせて液肥の頻度を調整する方法です。
土壌水分
土壌水分は培土の湿り具合を基準にして、水分が減ってきたら液肥を流します。
廃液量
廃液量は培土から出た廃液の量を測定して、培地に十分な量の液肥が流れたかを判断材料に使います。
液肥混入機
液体肥料を水に混ぜ込む液肥混入機にも、色々なタイプがあります。
ドサトロン/ベンチュリー
ドサトロンやベンチュリーの場合、駆動させるために電気が不要です。電磁弁と簡単なタイマーがあれば制御盤は必須ではありません。
電磁定量ポンプ
電磁定量ポンプはその名の通り、駆動に電気が必要で、通常は制御盤とセットで使います。ドサトロンやベンチュリーでは、設定できる液肥の濃度は1つだけです。設定を変えれば濃度を変更できますが、その都度手動で変える必要があります。
電磁定量ポンプの場合は、電磁弁ごとに設定した濃度に液肥の濃度を変えられます。たとえば、複数の品種を栽培するときには、電磁定量ポンプで液肥の濃度を調整できると良いでしょう。液肥が2液式の場合には、この液肥混入機が2台必要になります。