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農業ビジネスは立地が重要! いちご栽培に向いている地域とは?

専門家に聞くいちご栽培の解説連載第2回。今回は、いちご栽培に向いている地域についてご紹介。いちご栽培を行うときには、立地条件を考慮したうえでビジネスモデルを選ぶことが重要だという。

栽培に大切なのは
気温と日射量

いちごを育てる上で特に大切なことは、気温と日射量です。なぜかというと、どちらもいちごの株の生育や収穫量、果実の味に大きな影響を与えるからです。
 
農林水産省の令和元年産野菜生産出荷統計によると、いちごの生産量トップ5県はこちらです。1位の栃木県は温暖ではありませんが、それ以外の県は温暖な地域です。その理由は何でしょうか?


「令和元年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量」(農林水産省) をもとに編集部作成

 
その理由はいちごを育てる時期が関係しています。一般的にいちごは9月に苗を植え、11月から収穫が始まり翌年の6月頃まで収穫します。気温が低い冬の時期に栽培するため、ビニールハウスが必須ですし、他にも様々な保温や暖房を行います。
 
例えば、内張りカーテンによる二重構造、ウォーターカーテンの利用、暖房機による加温などです。冬の気温が低い地域の方がこの暖房コストが大きくなります。そのため、いちご栽培をするには温暖な地域の方が有利なのです。



なぜ栃木県が生産量1位なのか?

先程、栃木県は温暖な気候ではないと説明しました。しかし、栃木県はいちごの生産量で50年以上も1位の座を守り続けています。その理由は何でしょうか? 理由はいくつかありますが、冬の日照時間が長いことが要因の一つです。
 
ほとんどの地域では、日照時間は夏が多く、冬が少なくなります。しかし、栃木県の日照時間は夏よりも冬の方が多くなるのです。そのため、いちごの光合成量が大きくなり、果実の品質も収穫量も優れます。
 
同じように冬の日照時間を日本海側で考えてみましょう。冬の日本海側の気候と言えば、雪と曇り空が多いことが有名です。そのため、日照時間が非常に少なくなります。いちごの生産量が日本海側の地域で少ないのはこれが原因です。



農業ビジネスは
ロケーションがすべて

次にビジネスの視点から考えてみましょう。いちご生産のビジネスでは立地条件がとても大切です。
 
まず、いちご栽培を一度始めると、場所を変えることは困難です。例えば、飲食店や小売店でしたら場所が悪いと分かれば、別の場所に移動することができます。しかし、いちご栽培ではそうはいきません。
 
まず、ビニールハウスを解体して、輸送し、再度建て直すコストがかかります。また、土耕栽培の場合にはいちご栽培に向いた良い土を作るために何年もかかります。高設栽培の場合には、高設ベンチや養液システムを解体して、輸送し、組み立て直すのは大変です。
 
そのため、いちご栽培は途中から場所を変えられません。
 
仮に、同じレベルの栽培技術を持つA農園とB農園があったとします。A農園の立地条件はいちご栽培に最適で、B農園の立地条件は劣っているとします。立地条件が悪かった場合には、果実の味や収穫量で劣ってしまいます。
 
その立地条件を悪さをカバーするために暖房や補光などの設備投資をすることもできますが、その分のコストが増えてしまいます。そのため、立地条件の差は必ずビジネスに影響を与えます。



いちご狩りなら
アクセスの良さも大切

また、いちご栽培は「いちご狩り」という観光農園型のビジネスモデルも人気です。
 
収穫したいちごを市場などに出荷するビジネスモデル以上に、いちご狩り農園は立地条件の影響を受けます。なぜかというと、お客様を集める集客やプロモーション活動に立地条件が影響するからです。
 
例えば、交通量が多い国道や高速道路のインターチェンジの近くに農園があれば、そこに看板を設置するだけで宣伝効果が期待できますし、アクセスが良いのでお客様も集まりやすいでしょう。
 
逆に人里離れた山奥や主要道路や公共交通機関からのアクセスが悪い場所に農園がある場合には、宣伝に力を入れてもお客様が集まりにくくなります。
 

連載2回後編『いちごの4つの作型を知ろう! 地域やビジネスモデルに適した栽培を考える』はコチラ!

 

PROFILE

株式会社イチゴテック
代表取締役

宮崎大輔


いちご農園の新規立ち上げや栽培改善、経営改善をサポートしている。

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