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どれが自分にぴったり? イチゴ農家の高設ベンチの選び方!

イチゴ栽培の専門家による連載第4弾の前編。今回は、イチゴの高設栽培用の高設ベンチの選び方を紹介する。新規就農でイチゴ栽培を始める人、すでに土耕栽培でイチゴを育てている人など、高設栽培に興味がある人は参考にしてみよう。

連載第3回 前編『コスト抑制ポイントはここ! イチゴ栽培に使うビニールハウスの入手方法』はコチラ!

連載第2回 前編『農業ビジネスは立地が重要! イチゴ栽培に向いている地域とは?』はコチラ!

連載第1回 前編『〈基礎知識〉イチゴの養液栽培とは? 特徴や他栽培方法との違いを解説』はコチラ!

ベンチの作り方を設計者で選ぶ

まず、イチゴ栽培用の高設ベンチを設計者で分けると、3つのタイプに分かれます。

1.メーカー
2.各都道府県の農業試験場
3.個人

今回はメーカーや各都道府県の農業試験場が設計した高設ベンチの中から、自分に合ったものを選ぶ方法を紹介します。ベンチを自作したい人は、次回の記事で高設ベンチを自分で作る方法を紹介する予定ですので、楽しみにしていてください。

高設ベンチの構成要素

いろんなメーカーの高設ベンチのパンフレットやウェブサイトを見てると、いろんな種類がありすぎてどれを選んだらいいのか、わからなくなりませんか? そんなときは高設ベンチを構成要素ごとに分けて考えてみましょう。高設ベンチと一言でいっても、実は複数の要素が組み合わさってできています。

1.段数
2.列数
3.定植条数
4.栽培槽
5.支柱
6.培地
7.肥料

例えば、段数だけとってみても、1段、1.5段、2段、3段などの種類があります。列数は1列が多いですが、中には2列の高設ベンチを並列させて通路をなくすタイプもあります。

定植条数は2条植えが多いですが、高設ベンチの幅によっては1条植えもあります。例えば、ハウスの端に設置したり、メインの高設ベンチの下段に設置する場合がこれに当たります。これらの段数、列数、定植条数といった要素は、反収や一株あたりの収穫量に影響を与えます

栽培槽は発泡スチロールやシート、プランターなど、様々な種類があります。メーカーの高設ベンチはこの栽培槽を差別化ポイントとしてオリジナルのものを使うことが多いです。栽培槽の性質は、排水性や培地の温度に影響します。

支柱はハウスパイプが多いです。その連結部分は市販のハウス部材を使うことが多いですが、オリジナルの部品を使うこともあります。中にはハウスの天井からチェーンで吊るすタイプもあります。

培地はピートモスやヤシガラなどの単体培地を使うか、パーライトや軽石などと混ざった混合培地を使います。メーカーのオリジナルの製品を使うこともありますし、他社の市販品を使うこともあります。培地はイチゴが吸収する水分や肥料分、根の生育に影響します。

肥料は養液栽培では液体肥料が主流ですが、固形肥料を使う場合もあります。固形肥料を使う場合には、土耕栽培と同じような栽培を目指すことが多いです。 肥料はイチゴの生育に影響します。

ベンチにつけるオプション

イチゴの高設ベンチには、他にもいろんなタイプがあります。メーカーの商品ですと標準装備の場合もありますし、オプションで選択できる場合もあります。例えば、以下のようなものです。

・気化熱で冷やす
・底面給水で廃液を出さない
・温湯管で培地を加温する
・クラウンの温度制御ができる
・ベンチが移動できる(上下、左右、別の場所)
・栽培槽が取り外しできる
・垂直式
・水耕栽培

このようなタイプを選ぶと、通常とは違う特殊な栽培ができるようになりますが、その分、その高設ベンチに合った栽培方法をする必要があります。

高設ベンチの選び方
目的を明確に!

高設ベンチを選ぶときには、まず目標や目的をはっきりさせましょう。そうしないと、迷ってしまったり、本来の目的には合わない物を選んでしまうからです。例えば、作業を楽にすること、収穫量を増やすことなど、目標や目的に優先順位をつけて考えましょう。

おすすめ

「こんな人にはこんな高設ベンチがおすすめ」という組み合わせを考えてみました。例えば、土耕栽培の経験がある人とない人では、栽培しやすい高設ベンチが違います。経営上の目標や戦略によっても違ってきますので、参考にしてみてください。

● 特にこだわりがない
⇒ 1段の標準的な高設ベンチ(最もバランスが良い)
● 観光農園を運営する人
⇒ たくさん植えられる2段(収穫量多く、たくさん実がなり写真映えする)
● 土耕栽培の経験がある人
⇒ 培地の量が多い栽培槽(土耕栽培に近い感覚で育てられる)
● 自動化やマニュアル化したい人
⇒ 培地の量が少ない栽培槽(コントロールしやすくなる)
● 栽培面積が狭い人
⇒ 移動できるタイプ(狭い面積でたくさん栽培できる)
● 他の野菜も育てたい人
⇒ 取り外し式(イチゴを育てない時期に他の作物を栽培できる)
● 夏秋イチゴを育てたい
⇒ 気化熱ベンチ(培地の温度を下げられる)
● 環境に配慮したい
⇒ 廃液を出さないタイプ(肥料成分の流出を防げるから)

 

 

PROFILE

株式会社イチゴテック
代表取締役

宮崎大輔


イチゴ農園の新規立ち上げや栽培改善、経営改善をサポートしている。

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