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生産者の取り組み

効果的な農福連携における業務委託のポイントとは?

農福連携における実践方法の一つに、障がい者の就労支援施設への業務委託が挙げられる。双方にとって意義ある取り組みにするためには、事前のすり合わせが重要になる。農業者側と福祉事業者側、それぞれの視点から、農福連携における業務委託のポイントを紹介する。

<農業者の視点1>
目指すのは業務内容と範囲の明確化!

業務を委託(外注)する場合、まずは業務の内容と依頼する範囲を明確にする必要がある。これはどの業種でも、業務委託を行う場合であれば一般的な話である。しかし、農作業は圃場環境・作物の状況等の変動により範囲を決めにくい。委託先が福祉事業者であれば、相手の状況も考えてしまい、なおさら決めづらいことが予想される。

しかし、逆に考えてみてほしい。曖昧になるからこそ委託先も混乱するし、成果に対する考えも甘くなってしまうのではないだろうか。業務依頼の方法は、除草で言えば面積あたり、出荷であればキロあたりなど、成果に応じた算出を行う。

スタート時は、どの程度の成果がでるのか分からない状態だが、とにかく仮の状態でも構わないので、「決めておく」ということが重要である。そして、業務をやりながら、お互いが納得する業務内容と料金体系をすり合わせていくことで、責任をもって業務を遂行してもらえるようになっていく。

<農業者の視点2>
なにごとも準備が肝心! 事前共有を怠らない

業務を委託する際、農業者にとって困るのが、作業中に手を取られてしまうことだ。特に露地栽培をしている場合、日中の時間=作業時間に限りがあるため、その都度、手が止まることは避けたい。「この作業はどうしたらいいか」「この道具はどこにあるのか」などといった質問を少しでも減らせるように、事前の共有を怠らないで欲しい。

なかでも、特に次の3点を考慮して欲しい。

①作業環境

トイレや休憩所の場所、作業するにあたって望ましい服装、道具の場所・使い方などである。普段、屋外で作業を行っていない方にとって、服装の調整は意外と想像しにくいため、事前に伝えておくと助かるものである。また、可能であれば道具の使用に際して、持ち出し時に名前と時間を書く用紙などを準備し、事前に運用ルールを決めておけば、農業者側が無人の状態でも作業を進めてもらうことができる。

②作業の進め方と、設備や機械の使い方

基本的な作業の進め方だけでなく、効率的な作業の行い方も伝えておく。業務委託をするにあたり、実際に作業を行う障がい者の方々がどのような人なのか、農業者としては想像が難しい。また、日によって作業者が変わってしまうこともあるだろう。

なので、農業者が職員へしっかり業務内容を伝え、そのうえで職員に「障がい者の方々が作業しやすい方法・手順」を考えてもらうようにした方がよい。日々、障がい者の方々と接している職員だからこそ、作業方法や手順に対する工夫が生まれやすい。職員に対して出し惜しみせず、しっかりと業務を伝えることが重要だ。

③緊急時の対応

天候が悪かった場合の代替案、ケガなどがあった場合に対応できる近隣の病院などが事前にわかっていると、安心して業務に取り組んでもらうことができる。

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