【花き産地の最前線】岡山県新見市 鮮やかな生花のりんどうドレスが完成

2027年国際園芸博覧会に向けて、花き産地の先進的な取り組みを紹介する。岡山県新見市で生花を使った「新見のりんどうドレス」の完成発表会が開催された。同市の地域おこし協力隊員が考案したドレスを地元の大学生が着用して披露し、リンドウの新たな魅力と販路拡大をアピールした。

メイン画像:生花を使った「新見のりんどうドレス」(岡山県新見市)

 

地域おこし協力隊員の
企画提案がきっかけ

生花を使った「新見のりんどうドレス」

9月6日に開催された完成発表会。会場には新見ウインドアンサンブルによるBGMが響き渡り、新見公立大学の3年生2名が、鮮やかなリンドウの生花をあしらったドレスを身にまとい、階段の上段から登場した。集まった約150人の参列者を前に、生花ならではの華やかな姿を披露した。

このプロジェクトは、特産である「新見のりんどう」の魅力を発信し、新たな販路を広げることを目的に開始された。新見市地域おこし協力隊の市竹裕さんが花き市場を視察した際、買い手がつかない場合にリンドウの価格が下落する現状を知り、資材価格の高騰などで厳しい栽培環境にある生産者を支援しようと企画提案したことがきっかけである。

生花を使った「新見のりんどうドレス」(岡山県新見市)

新見市で栽培しているリンドウは、防虫ネットで圃場を覆うことで受粉による品質低下を防ぎ、日持ちが良いのが特長だ。この強みに着目した市竹さんがドレスとしての活用をJA晴れの国岡山 新見花き部会に提案し、岡山県の「備中地域みらいづくり支援事業」を活用した取り組みが本格化した。

今年4月からデザイナーの豊田光さんを招いて圃場見学や協議を重ね、6月下旬には地域住民と生地の色付けワークショップを実施した。ドレスには約200本のリンドウや地元の伝統工芸品である神代和紙などが使用され、青色とクリーム色の2着のドレスを制作した。

リンドウ栽培で西日本最大の規模
担い手確保が大きな課題

防虫ネットで圃場を覆ってリンドウを栽培

岡山県新見市で栽培しているリンドウ

岡山県新見市は、高梁川源流域の冷涼な気候と標高の高さを活かして2000年頃からリンドウの栽培が本格的に始まった。いまでは西日本最大の産地へと成長を遂げている。JA晴れの国岡山 新見花き部会を中心に20戸の農家が計5ヘクタールの圃場で年間約100万本を出荷しており、防虫ネットの整備や自動結束ロボットの導入などによって品質維持と省力化を進めている。

しかし、生産現場では農家の高齢化と後継者不足が進んでおり、産地の生産能力や栽培技術を次世代へ継承していくための新規就農者や担い手の確保が大きな課題となっている。さらに、近年の気候変動による夏季の高温化や、資材費および燃料費の高騰といったコスト増加への対応も急務となっている。

結婚披露宴でドレスを活用
高付加価値の需要開拓へ

9月9日の結婚披露宴で「新見のりんどうドレス」を着用

9月6日の完成発表会では、デザイナーの豊田さんによるコンセプト説明や撮影会が行われた、JA晴れの国岡山 新見花き部会の三好充会長は「完成したドレスを見て、新しい使い方の発見がありました。特産のリンドウをPRするとともに、新たな担い手確保の一助となればうれしい」と語り、産地活性化への期待を込めた。

完成したドレスは、9月9日に地元の結婚披露宴において実際に使用され、晴れ舞台を彩る実用的な花き需要の開拓として大きな成果を収めた。今後はブライダル業界や舞台衣装分野などへ積極的にアプローチし、出荷時期である6月から11月上旬まで、さまざまな品種を織り交ぜた花を提供して高付加価値化を目指す方針だ。その一方で、生花を衣服や装飾に用いる際の鮮度保持技術の確立や、需要期に応じた出荷調整、コストバランスの適正化が今後の普及に向けての継続的な課題となる。

DATA

リンドウで豪花ドレス JA晴れの国岡山 新見花き部会




取材・文/アグリジャーナル編集部
写真提供/JA晴れの国岡山 新見花き部会

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