2020年春の実用化を目指すミニトマト収穫ロボットの実証実験を開始!
2019/12/12
オフィスで活躍するロボットや企業のオリジナルロボット、特殊ドローンなどを制作する株式会社スマートロボティクスが、ビニールハウス内でミニトマトを自動で収穫する、自動走行型アームロボットの実証実験を開始した。
なぜミニトマト収穫機なのか
農業就業人口の減少や担い手の高齢化による労働力不足が叫ばれて久しい。農業は年間を通して作業量を標準化できない、一定のスキルを持つ人でなければ行えない作業があるなどの特徴から、労働力の確保が難しいのが現状だ。
特に秋の収穫時には、多くの人手を必要とする。この大変な収穫作業による農業者への負担を軽減し、労働力不足を補うのが自動収穫ロボットだ。自動収穫ロボットは圃場の規模拡大や農業者の所得向上にもつながるとされ、期待が高まっている。
株式会社スマートロボティクスも、2018年11月から自動野菜収穫ロボットの開発に取り組んできた。
同社は、ロボット技術を応用した各種ハードウエアおよびソフトウェアの設計・開発やロボット技術の活用に関するコンサルティングなどを行っている企業だ。これまで、企業の受付を行うロボットやオフィス内で自動走行しモノを運ぶ自立走行搬送ロボットを開発してきた。
ロボットを主軸事業に展開する同社が、今回実証実験を開始したのはビニールハウス内でミニトマトを自動で収穫する「ミニトマト自動収穫ロボット」だ。同社が収穫する作物にミニトマトを選んだ理由は、傷つきやすく、サイズが小ぶりで鈴なりに実をつけるため、収穫の難易度が高いといわれていたからだという。
自動収穫ロボットの特徴
このロボットは、ハウス内を自動で移動しながら、ミニトマトのヘタが取れないよう一つひとつ丁寧に収穫し、収穫したトマトをコンテナに入れることができる。ロボットには距離センサーとカメラが搭載されており、カメラで取得した映像を、ディープラーニング技術を用いてミニトマトが収穫適期か、収穫に適しているサイズかどうかを判断。ロボットは収穫に適したトマトだけをアームを使って収穫する。
ロボットに使われているロボットハンドは同社が設計開発したもの。ミニトマトをやさしく包み込むように収穫できる。さらに、2019年3月に自社オフィス内に設置したミニトマト苗の収穫実験では、1個当たり約15秒の収穫時間を実現した。
今後は、2020年春の実用化を目指して、量産に向けたコストダウン、自動走行機能の改良、昼夜での認識機能の向上などを進めていく。製品は導入コストがかからないように収穫時のみのレンタルを中心として提供していく予定だそうだ。
DATA
text:高橋みゆき