1分で分かる!JAを揺るがす独占禁止法の問題点

シリーズ「これからのJA」。今回は、中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授・杉浦宣彦氏に、JAの独占禁止法問題について伺った。

JAグループを揺るがす独占禁止法問題

公正取引委員会では、農業分野における独占禁止法違反に係る情報窓口や調査を行うための「農業分野タスクフォース」を設置し、また、今般の農協法改正でも組合員に対する事業利用の強制禁止が盛り込まれた。さらに、最近では、実際に四国の某JAに対して排除措置命令が出たこともあり、様々な農協経の出荷や購買事業の現場ではどういった取引が問題となるのか、疑問と混乱が発生している。

公正取引委員会の「農協ガイドライン」では、購買・販売事業の利用強制や他の事業の利用を条件にした共同利用施設の利用や補助金利用などが、JAによる不公正取引や優越地位の濫用ということで問題になると指摘されているが、例えば、農作物のブランド・品質維持のために生産部会等と一緒になって、JAが特定の肥料や資材を使うように指導し、それらを販売するようなケースはいくつもあり、他の事例も含め、全国で現場の声を聞く私としても、どのような取引が問題なのか、その線引きが難しく感じるケースが多い。

また、最近、独禁法関連でJAが公正取引委員会から指摘を受けたケースには先述の四国のケースのほかに、花き組合がJAへの全量出荷を義務づけていた北海道のケースがある。公正取引委員会はいずれのケースも、不公正取引自体は外部組織主体で行われており、JA本体ではないと認めながらも、四国のケースでは外部組織とJAとの一体性を広くとらえて排除処置命令を出しており、この結果に違和感を表明している有識者も少なくない。

だが、公正取引委員会による政治的な動きを疑っているだけでは問題は解決しない。今や農家はその売り先を自由に選択する時代に入っており、出荷・取引形態も内容がクリアなものが求められるようになっている。これを機にJA自身もより多くの農家に選ばれる組織となるにはどのような工夫をしつつ、その関係を明確化するためにも契約概念の導入検討を進めていく必要があるだろう。


中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授

杉浦宣彦さん

現在、福島などで、農業の6次産業化を進めるために金融機関や現地中小企業、さらにはJAとの連携などの可能性について調査、企業に対しての助言なども行っている。


AGRI JOURNAL vol.04(2017年夏号)より転載

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