「農業の未来を明るくしたい」4Hクラブ新会長が語る”自然栽培”へのこだわり
2019/08/09
ITツールや異業種コラボなど、現代ならではの方法を駆使して最前線で活動する若手農家たち。そんな彼らの取り組みを紹介する連載がスタート。記念すべき第1回目は、4Hクラブの新会長・首藤元嘉さんにスポットを当てる。
メイン画像:全国農業青年クラブ連絡協議会会長の首藤元嘉さん。
農家への期待を背に、
未知の領域も切り開く
今年7月、4Hクラブの第66代会長が誕生した。新会長となったのは、同クラブの元・副会長であり、愛媛県西条市で農業法人「株式会社維里」を営む首藤元嘉さんだ。
首藤さんが就農したのは、およそ7年前のこと。実父が体調を崩したのをきっかけに、商船の乗務員から家業である米農家に転身したという。
「父が体調を崩した主因は、長年にわたる農薬の使用です。そんな姿を目の当たりにしたので、就農当初から自然栽培にこだわりました」と、首藤さん。
ほぼ技術と知識がない状態でのスタートだったが、就農後3年が経つ頃には、安定した自然栽培法の確立に成功。また、この頃に生産を始めた加工品も人気を集めている。
探究心、チャレンジ精神ともに旺盛な首藤さんが、自然栽培と同様に注力したのが、4Hクラブでの活動だ。
「県内や全国のクラブ員が集まる会合に参加した時、“世間には、ユニークな農法や考え方をもつ農家が大勢いるんだな”と驚きましたね(笑)。とても刺激を受けましたし、活動に積極的に参加するようになりました」。
また、活動に熱心に取り組むようになってから、一般企業の社員や農水省職員と意見を交わす機会が増えたそう。農家への期待値の高さを肌身で感じるにつけ、より主体的に経営やクラブ活動に取り組むようになったと語る。
現在、首藤さんには大きな目標がある。それはおそらく国内初となる、自然栽培に特化した専門農協の設立だ。近年、自然栽培の作物への需要が高まりつつあるため、先を見越して打ち立てた目標だという。首藤さんが考える理想の農協は、どのようなものか。
「メンバーが互いに高め合う団体です。生産性を上げるため、勉強会を開いたり、最新の機械を共同利用したいですね。農協の結成には、最低15人の人員が必要なので、地域で自然栽培に取り組む仲間に声をかけているところです」。
今夏、4Hクラブの会長という重要なポジションに就いた首藤さん。最後に、今年度の4Hクラブの活動目標をうかがった。
「『活動するものは常に新鮮なり』という禅語の言葉に由来する『清流無間断(せいりゅうかんだんなし)』が今年度のテーマです。努力を続け、日本の農業の未来を僕たちが中心となって明るいものにしたいです」。
全国青年農業者会議の
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DATA
全国農業青年クラブ連絡協議会 会長
首藤元嘉さん
農業法人「株式会社維里」の代表。米や大豆を栽培する傍ら、自然栽培の穀物を使ったあま酒や玄米オートミールも生産している。「エコファーマー」「愛媛県GAP(米)」の資格を保有。
text: Yoshiko Ogata
AGRI JOURNAL vol.12(2019年夏号)より転載