全国の優良経営者『農業王』が決定! 持続可能な農業経営の秘訣を語る
2022/11/07
会計ソフトの提供などをとおし、農業経営をサポートする「ソリマチ株式会社」。持続可能な農業を営む農家を応援し、日本の農業をさらに盛り上げることを目的に、イベント「農業王 アグリエーション・アワード」を実施した。
経営、地域貢献、作物の質
すべてがトップクラスの農家
農業専用会計ソフトを開発・販売しており、約10万件の農業会計データと関わる「ソリマチ株式会社」と、「一般社団法人農業利益創造研究所」により、第一回目となる「農業王 アグリエーション・アワード 2022」が実施された。本アワードのおもな趣旨は、持続可能な優良経営を実践している農家を選出し、表彰すること。合計1万3千件以上ものエントリーがあったなか、厳正な審査のすえ、16名の農業者が「農業王」として選出された。
「農業王 アグリエーション・アワード 2022」を実施するにあたり選考基準となったのは、経営の安定度、地域における影響力や貢献度、産出する作物の安全性など。これらすべての基準においてトップクラスにあると判断されたのが、長野県中野市の果樹農家、池田武久さんだ。
池田さんを表彰し、営農にまつわる信条などをコメントしてもらうことを目的に、9月12日、中野市内にて表彰式が行われた。当日は、「ソリマチ株式会社」の代表を務める反町秀樹さんや、「JA中野市」の組合長・望月隆さんなど、20名以上の関係者が出席。表彰を見守ったほか、持続可能な農業経営をテーマに語り合った。
受賞者の池田さん(中央)は長らく個人農家だったが、今年6月に合同会社「たけたけ農園」を設立。
「たけたけ農園」ではハウスと露地で、シャインマスカットや巨峰、ナガノパープルなどを栽培。
農業王とは?
青色申告決算書をもとに、安定性と成長性がある経営を行っている108人の農業経営者を選出。その後、選出された農業経営者へのヒアリングなどを通し、さらなる選考を実施した。最終的に、北海道から九州までの9ブロックより合計16人の「農業王」が誕生。なお、受賞者の営農類型は、普通作(米+麦・大豆)、野菜、果樹、畜産の4つに分けられる。
・ 適正な所得を生み出す、安定的な経営であること
・ 適正なコストで最高の収益を生み出す、効率的な経営であること
・ 現状に満足せず常に改善し、新しいことに取り組む経営であること
・ 消費者に安全安心な農産物を提供している経営であること
・ 地域や社会に貢献し、影響力を与えている経営であること
持続可能な農業を実現
それぞれの取り組みとは?
「農業王」は、持続可能な農業を営んでいると認められた農業経営者。授賞式では、持続可能な農業を実現する秘訣を求めて、トークセッションも実施された。
合同会社たけたけ農園
池田 武久さん
ソリマチグループ各社
代表取締役社長
反町 秀樹さん
一般社団法人 農業利益創造研究所
理事長
平石 武さん
営農におけるモットーは
“環境と人の双方に優しく”
反町さん 池田さんは安定的に農業を営まれており、高い農業所得率を維持されています。また、池田さんが手がけたぶどうは付加価値が高く、とても人気がありますね。農業経営を行ううえで、どのようなことを心がけておられますか?
池田さん 日頃から心がけていることとして、まず挙げられるのは「優しい農業を営む」ということです。肥料は有機物を、なおかつ生産の過程で廃棄されてしまうものを積極的に使うようにしています。例えば、コーヒーを扱う企業からコーヒーを抽出した後に残る「コーヒーかす」を仕入れ、それを肥料にしています。
反町さん 池田さんがおっしゃる「優しい農業」とは、環境に優しい農業ということになりますか?
池田さん そうですね。また、環境に優しいというのは、食べる人にも優しいということにつながると思います。安心・安全な作物を提供し、消費者の方々に安心して食べていただきたいですね。
平石さん 雇人費が非常に少ない点も、池田さんの会社の特徴です。収入金額に対する雇人費の割合は、全国における平均値が11%であるのに対して、池田さんの会社では2.7%となっています。この割合は、どのようにして実現されていますか?
池田さん 私の妻は外で勤めておりまして、基本的には私一人で圃場を管理しています。一人で無理なく管理することに重きをおいているので、複数の品種を手がけ、作業が一時期に集中しないようにしています。ぶどうにも早生、中生、晩生があるので、それぞれの品種を手がければ、早い時期からコンスタントに作業ができます。それでも、どうしても一人では手が回らない時期が発生するので、その際は近所の方々に手伝いに来ていただきます。
子どもたちが
地域を誇れるように
平石さん 「農業王」は、社会や地域への貢献度も加味して、選考されています。池田さんは、JA中野市のぶどう部会の支部長として地域のぶどうのブランド化を推進されているとうかがっています。
池田さん 今は大人気のシャインマスカットも、登場したばかりの頃は「こんなに青いぶどうは売れないのでは」と言われていました。しかし、食味がとてもいいので、皆で「これを中野市の“柱”にしよう」と決意しました。やがてそうした決意や努力が実ったのは、いい思い出です。
平石さん そのほかに地域貢献のため、実践されていることはありますか?
池田さん 地元の小学校や中野市の公民館からの依頼を引き受けるかたちで、地域の子どもたちに農業体験を提供してきました。農業体験の提供は、私自身がぜひ実施したいと考えているものなので、依頼をいただいた際は喜んで引き受けています。また、農業体験をとおし、子どもたちに伝えたいと考えていることもあります。それは、中野市のぶどうは、どこに行っても誇れる逸品であるということ。子どもたちには、中野市のぶどうの質の高さを知ってもらい、自分が生まれ育った地域への誇りを養ってほしいですね。
ソリマチは農業生産者を応援!
コンピューターが登場した頃より、農業事業者向けの会計ソフト「農業簿記」を開発・販売。日々の帳簿付けから確定申告にいたるまで、幅広い作業を支える「農業簿記」は、今では多くの農業生産者にとって必要不可欠のツールとなっている。また、業界トップクラスのシェアを誇る、小規模事業者向けの会計ソフト「会計王シリーズ」など、ヒット商品も。社内で「社会貢献・地域貢献検討委員会」を立ち上げ、地域や自然への貢献活動にも取り組んでいる。
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写真・文:緒方佳子
AGRI JOURNAL vol.25(2022年秋号)より転載
Sponsored by ソリマチ株式会社