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いまさら聞けない! バイオスティミュラントの基礎知識

最近よく耳にするようになった、植物へのストレスを軽減して良い生理状態に導く「バイオスティミュラント」という資材。なぜいま、注目されているのか? これまでの資材とは何が違うのか? 改めて理解しておこう。

Q バイオスティミュラントって
どんなもの?


バイオスティミュラントとは、農薬でも肥料でもない、まったく新しい農業資材のこと。

「バイオスティミュラント(Bio stimulants)」は、直訳すると「生体刺激資材」。バイオスティミュラントは、植物に対する非生物的ストレス※を制御することで、気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減して植物を健康な状態にする、新しい農業資材のこと。

※非生物的ストレス:非生物的ストレスとは、高温や低温、塩害や干害(水不足)、それに風や雹(ひょう)といった物理的ストレスを指す。

Q 肥料とバイオスティミュラントは、
どう違うの?

肥料は植物に栄養を供給するもの。バイオスティミュラントは非生物的ストレスを緩和して植物を元気にするもの、という違いがある。

バイオスティミュラントは植物を刺激する(生理作用を刺激する)ことにより植物の活力を高める。免疫力を高める、成長力を高める、と言い換えることができる。その結果として、作物の収量や品質、収穫物の保存性などを維持することができる。
 

Q バイオスティミュラントには、
どんなものがあるの?

起源別に、下図のように6種類に分類されている。

広く知られている腐植酸や、海藻を原料とするもののほか、アミノ酸・ペプチド、ミネラル・ビタミン類、微生物など、バイオスティミュラントの起源は様々である。その効果も様々であり、いつ何を使ったら効くのかを分かりやすく説明することが業界に求められている。


引用:高木篤史 2019年度 日本生物工学会北日本支部 仙台シンポジウムより

 

Q 日本では普及しているの?

バイオスティミュラントは様々な生産現場で使われ始めている。

水稲や露地野菜、果樹から施設栽培まで、様々な生産現場で使用され始めている。その目的も、高温対策や乾燥対策、霜害対策から収穫物の保存性確保まで、様々である。バイオスティミュラントは普及し始めたばかりの新しい資材。今から積極的に情報を収集して、試してみて欲しい。
 

Q 農薬とバイオスティミュラントは、
どう違うの?


農薬は病原菌や害虫といった生物的ストレスを直接的に駆除する、抑制するもの。バイオスティミュラントは植物を刺激して元気にするもの、という違いがある。

一般的には、病原菌や害虫対策として農薬を使用する。これに対してバイオスティミュラントは、植物を刺激して元気にする。研究対象としては、植物が生理的に変化して病害虫抵抗性を持たせるタイプもバイオスティミュラントとして研究されている。

 




文:川島礼二郎

AGRI JOURNAL vol.25(2022年秋号)より転載

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