注目キーワード

道工具・資材

“45度の壁”を制覇! 傾斜地でも真っ直ぐ走る、農家に寄り添うやまびこの草刈り機

今年の春、傾斜45度の斜面でも安定的に草を刈るラジコン草刈機「RCM600」が登場。本機の開発にまつわるエピソードと、ユーザーから届いた感想をご紹介!

約4年間にわたって
試行錯誤した開発者

3〜4年前、国内製造のラジコン草刈機に対する注目度が急上昇。同時に、ラジコン草刈機を用いての草刈りにまつわる課題も、表面化するようになった。こうした課題を解消した製品を造るべく、2019年2月、「やまびこ」で新製品の開発チームが結成された。

開発にあたって、現場からのリアルな声が必要不可欠と考えた開発チームのメンバーは、県内の農業組合法人「宮守川上流生産組合」にコンタクト。以降、当組合の事務局長を務める菊池文彦さんや草刈作業を担うオペレーターへのヒアリング、試作機の試用などを重ねたという。


開発メンバー。左から田中剛さん、下舘政和さん、齊藤創也さん、福田涼さん。

「新製品の開発に着手した時、開発チームのほとんどが、草刈りを十分に経験していないことに気がついて。草刈りに関連した問題点を全体的に把握しようと、チーム全員で炎天のなか、刈払機を使って延々と斜面の草を刈ったこともありました。夏場の、それも斜面での草刈り作業は、大変な重労働だと実感しましたね」と、開発チームのメンバーであり、「やまびこ」の商品戦略部・第二課の主査、田中剛さんは振り返る。

また、現場でヒアリングや実作業に取り組む中で、安全性の大切さを再認識したという。「草刈りは危険を伴う作業。草刈り中の事故は、日本各地で毎年発生しています。メーカーとして、この点は到底無視できず、安全性の高さを極限まで追求した製品を開発すべきだと考えました」。

こうして、安全性に特化したラジコン草刈機「RCM600」が誕生。なお同機は、優れた作業性とコストパフォーマンスも備えた逸品となっている。「すでにいくつかの展示会で『RCM600』を出品しており、『驚くほど性能が高いのに価格がお手頃。これなら欲しい!』といった感想を多数いただいています」。

農家の困りごとを
解決する製品に

「一集落一農場」をスローガンとする「宮守川上流生産組合」は、地域内の圃場管理に組合全体で取り組んでいる。畦畔管理において、草刈は欠かせない作業の一つだ。組合では、毎年6、8、9月の3回、圃場の草刈を行っているという。「宮守川上流生産組合」の事務局長を務める菊池さんは、草刈にまつわる課題について、こう説明する。


現在75歳のベテランスタッフも、「『RCM600』は扱いやすい」と高く評価。

「平地の草はもちろん、高畦の草も刈る必要があります。しかし、高畦の中には、高低差20mで傾斜45度の、立っているだけでも大変な場所も。こうした場所での、刈払機を使っての草刈は、危険を伴うだけでなく、スキルや経験を必要とします。現在、草刈を担当しているスタッフが引退した後、代わりに草刈を担える人材がすぐに見つかると思えず、『草刈の方法そのものを変えなくては』と考えていました」。

2019年12月より、「RCM600」のアドバイザーを努めてきた菊池さん。本機の試作機を使った時の所感を、菊池さんは次のように語る。


「宮守川上流生産組合」の事務局長、菊池さん。同組合は、米やブルーベリー、山菜などを生産する他、加工品も手がける。

『RCM600』が、傾斜45度の高畦でも滑り落ちることなく、スムーズに草を刈っていく様子を見た時は驚きました。それに、ラジコン草刈機では刈りづらい法肩も、きれいに刈れるので感激しましたね」。なお、「RCM600」に関しては、懸念も抱いていたが、それも杞憂に終わったという。「『RCM600』の主な動力源は、電気です。『大きな音が出ないのはいいけれど、スピードやパワーに欠けるのではないか』と思いました。しかし、試作機を使っている最中、パワーなどに不足を感じることはありませんでした」。


畦の上面と傾斜部分の境目にあたる「法肩」も楽に刈れるため、効率的に作業できる。

 

RCM600の特徴

機体の状態がわかる大型LEDライト

各種警告時に光る赤ランプ、刈刃モーターへの負荷を知らせる黄色ランプ、通信状態を知らせる緑ランプを本体上部に設置。視認性に優れた大型LEDライト。

安定的な動作で幅広い高さを刈れる

刈刃の高さは、35〜100mmまで調整可能。黄色のデッキ部のみを稼働させているため重心の変化が少なく、傾斜地でも、安定的に走行できる。

高技術から生まれた発電体を搭載

走行と刈刃をモーターで駆動させることで、さまざまな制御が可能に。また、従来よりも部品数を減らした結果、本体が軽量化され、メンテナンス性は向上。

機体の進行方向を自由に変えられる!
任意に正面を切り替えられる「正面切り替えモード」を搭載。機体を後進させながら草を刈る必要がないため、ビギナーでも迷うことなく操作できる。

速度制御機能で安心・安全な作業
「走行速度ダイヤル」を使って、最高速度を任意に設定できる。細かな速度調整が不要となるため、安心して安全に、なおかつ楽に作業できる。

傾斜地でも真っ直ぐ走る!
「走行アシスト機能」が搭載されており、機械のクローラーの回転数を左右で変えられる。急勾配になっている圃場でも安定的に、そして真っ直ぐに走ることができる。

シンプルな造りで水にも強いプロポ


シンプルで操作しやすいプロポ

本機のプロポは、防水性能を備える産業プロポ。必要最低限のスイッチのみ備えるうえ、配置がシンプルなため、迷うことなく操作できる。

燃料切れの際も一定時間、走行可能
ECHO50Vリチウムイオンバッテリーを搭載。燃料が切れた際も5〜10分、バッテリーで走行するため、その間に圃場から脱出させることができる。

DATA


重量:235kg
寸法(全長×全幅×全高): 1,255×975×640mm
動力:エンジンで発電。走行と草刈作業は電気
刈高:35~100mm(無段階)
刈幅:600mm
傾斜:最大45度
最高走行速度:時速4.0km
価格: 203万5,000円(税込)

 

問い合わせ

やまびこジャパン株式会社
TEL:0428-32-6181


写真・文:緒方佳子

AGRI JOURNAL vol.28(2023年夏号)より転載

Sponsored by やまびこジャパン株式会社

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. トマトの試験で収穫数、収益がアップ! 海藻由来のバイオスティミュラントの効果は?...
  2. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  3. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  4. AIソリューションが実現する高精度な収穫量予測 正確な予測で効率&利益アップ!...
  5. 東京オートサロン2024でみつけた、最新の軽トラカスタム一挙公開!
  6. 【植物工場ビジネスの最新動向と課題】現状は赤字が約半数。エネルギー削減の取り組み進む...
  7. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  8. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  9. 【製品モニター募集】手軽さと手ごろさを極めたマッスルスーツを体感しよう!...
  10. 消費者へのアピールに“万田酵素”を活用!? 野菜や果物、米の販売時に専用ラベルで差別化...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.33|¥0
2024/10/09発行

お詫びと訂正