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植物工場、収益向上の鍵は「光熱費削減」と「6次化」

GPECで開催された特別セミナーでは、施設園芸・植物工場の収益を向上するためのヒントが語られた。キーワードは「光熱費削減」と「6次産業化」だ。

人工光型の黒字化には
電気料金節約が必須

2018年7月11日~13日、東京ビッグサイトで「施設園芸・植物工場展 2018(GPEC)」が開催された。アグリジャーナル編集部は、会場内を徹底取材。今回は、特設のセミナー会場で行われた「GPEC主催者セミナー」の中から、植物工場に関する2つのセミナーを取り上げる。

初日の7月11日に登壇したのは、三菱総合研究所の岸 紘平 研究員。岸氏は、大規模施設園芸・植物工場を「人工光型」と「太陽光型」とに分類し、さまざまな調査結果を発表した。

まず栽培品目では、人工光型はレタス栽培が、太陽光型は果菜類(主にトマト)栽培が、それぞれ約8割を占めている。

また全体の収支状況では、黒字・収支均衡の合計が55%で、赤字の45%を若干上回っている。ただし、人工光型は赤字が58%で、黒字・収支均衡の42%よりも多い。太陽光型は黒字・収支均衡が62%となっている。

その要因として、コスト構造を収支状況別に分析すると、赤字事業者の傾向として「光熱水道費が高い」ことが挙げられた。特に人工光型でその傾向が強く、黒字事業者と赤字事業者では10ポイント以上の差がついた。

黒字化するためには、光源や空調の電気料金などをどのようにして抑えるかが、ポイントの1つだといえる。

出典:大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査(日本施設園芸協会)(PDF)

 

他業界と比較すると
食品は6次化しやすい

最終日の7月13日には、経済産業省の荒川 洋 課長補佐が壇上に上がった。荒川氏は、植物工場に関する周辺産業の動向について語った。

まず国内の食品市場の状況としては、輸入を含む食用農林水産物(10.5兆円)と、輸入一次加工品など(6.0兆円)の計16.5兆円の原料が、加工・輸送・調理サービスなどを付加されることで、最終消費額76.3兆円の市場が形成されているという。

国産の農林水産物(9.2兆円)の用途は、食品製造業向けが59%、最終消費向けが31%、外食産業向けが9%。約6割が食品製造業向けの原材料で、長期的にもその傾向は大きくは変わらない。また食品製造業の加工原材料の調達割合は、国内が7割を占めているが、長期的には輸入原材料の比重が伸びてきている。

食品製造業の付加価値額は、製造品出荷額の約3割。製造業全体の付加価値額率よりも高く、製造業の中でも付加価値をつけやすい産業だという。

つまり食品産業は、他業界に比べて、1次産業である生産から2次産業の加工、3次産業の流通・販売へと繋げやすい「6次化のしやすい産業」だといえそうだ。

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