カリフラワーに再評価の動き! 生産者の労力削減に貢献する期待の新品種が発売決定
2020/06/05
株式会社サカタのタネは、カリフラワーの新品種「オーナメントホワイト」の種子を生産者向けに販売することを発表。包葉性や生育のそろいに優れ、生産現場の省力化に貢献するのが特徴。花蓄の純白さはもちろん肥大性にも優れているため、注目を集めている。
生産者の労力削減に貢献する
期待の新品種
株式会社サカタのタネは、カリフラワーの新品種「オーナメントホワイト」の種子を生産者向けに発売すると発表した。
「オーナメントホワイト」は、品種の持つ白さに加え、外葉が花蕾を包み込む「包葉性」が特徴。この性質によりその白い花蓄を守ることができるため、「装飾」「白さ」を意味する「オーナメントホワイト」の名の通り、純白の高品質な青果の生産が期待される。
カリフラワー生産では、花蓄を純白に保つため、1株1株を手作業で葉を縛る縛葉(ばくよう)作業があり、大変な労力を要する。
「オーナメントホワイト」は、その優れた「包葉性」から自然に葉が花蕾を包み込むため、作業大幅な軽減が見込めるほか、生育のそろいがよい品種のため、収穫作業性の向上にもつながる。生産者の労力削減に貢献する注目の種子だ。
また、ボトニング※にも強く、比較的耐暑性もあるため、一般地の晩春から初夏収穫、高冷地の初夏収穫でも安定した収量の実現が期待できる。
※株が十分に成長する前に花芽が分化し小さな花蕾になってしまう障害
さらに、花蕾の純白さはもちろん肥大性に優れているため、出荷時の評価が上がりやすい高品質な青果が収穫可能だ。実際に試作した産地からも、品質やそろいの評価が得られているという。
高まるカリフラワー再評価の動き
さらなる発展が期待される
日本国内でカリフラワーの生産、消費が拡大し始めたのは1960年代といわれる。しかし、その後減少傾向に転じ、1980年代には同じ花野菜であるブロッコリーに逆転された。
カリフラワー生産の減少の原因の一つには、縛葉作業や出荷調整作業などで手間がかかることによる生産者のカリフラワー離れが考えられる。
しかし、近年健康志向の高まりから、細かく刻んだカリフラワーをコメの代わりに食べる「カリフラワーライス」が各メディアで紹介され、流通大手各社が次々と商品化するなど、カリフラワーは再び注目を集めている。
近年注目を集めるカリフラワーライス
また、ほかの野菜には少ない白、紫、緑、オレンジといったカラフルさがあり、最近はスーパーマーケットの店頭を季節ごとに、例えば秋にはハロウィーンカラーなどに彩る際に、重宝される例もある。
上記のほかにも、カリフラワーは生産する際の設備投資が少ないことから新規就農者も参入しやすく、価格が比較的安定しているため、まだまだ新しい可能性を秘めている野菜だ。
同社が過去に開発してきた、自己包葉性の強い「バロック」(1994年)、「美星®」(2003年)、「ホワイトキャンディ」(2012年)等や、今回開発された「オーナメントホワイト」を通じて、カリフラワー全体はさらなる発展を遂げるのではないだろうか。
「オーナメントホワイト」の種子の、希望小売価格は1袋2000粒入りは4,400円(税抜)、ペレット種子1缶5000粒入りは2,900円(税抜)。全国のJA、種苗店を通じて2020年6月下旬発売予定。
DATA
文:竹中唯