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新規就農支援事業の増額に意味はあるのか? 日本農業の本当の弱点とは

農業で自営を目指す人材(50歳未満)を支援する「農業次世代人材投資資金」が2019年度の予算で減額されたことを受け、一部では独立する人材を増やすべきであり、そのために予算額を元に戻すべきという主張が出ている。農業という産業にとってこれは正しい方向なのか、ここで疑問を呈したい。

日本農業の脆弱さの原因は
零細な農家の多さ

新規就農支援事業の構成は二本立てとなっている。

一本は就農前に県農業大学校などで研修する際に最長2年間、年間で最大150万円を交付する「準備型」。もう一本はその人材が独立して自営するために最長5年間、同額を交付する「経営開始型」。2018年度には175億円の予算が組まれたものの、19年度予算では20億円減額された。そもそも交付金頼みで農業を始めるような人たちが、農業で自立できるのだろうか、ということは今回の本論ではないのでおいておく。

同事業で最も疑問に感じるのは、自営の農家をこれ以上増やすことに産業的な意味があるのか、ということだ。国内の農業経営体は120万(2018年時点)である。これはどう考えても多い。それもあって一経営体当たりの耕地面積は2ha程度でしかない。これはEU全体の約6分の1、英国の約35分の1、ドイツやフランスの約25分の1に過ぎない。

日本の農家が零細である理由の一端がここにある。


重要視するべきポイントは
雇用型の農業法人における人材確保と育成

圧倒的多数を占める零細な農家の存在は、日本農業の脆弱さの要因となってきた。日本の農業は規模が小さいとよく言われる。国土が狭小なので仕方ない側面もあるが、それだけが理由ではない。多数の零細な農家が残ってきたので、農業だけで食べていこうとする専業農家は、これまで規模の拡大や農地の集積を思うように進められなかったのだ。

これが農業の成長にとって壁となることにいち早く気づいた半世紀前の政治家や学者らは離農政策に取り掛かろうとしたが、票田が減ることを嫌う人や組織から猛烈に反対され、実現しなかったそうした歴史を踏まえたとき、自営の農家を増やすことは、農業の成長に望ましいことではないことは自明である。

高齢を理由に大勢の農家が辞めていく中で、あえてその穴を埋めようとする必要などない。むしろ大事なのは、これからも増え続ける雇用型の農業法人において多様かつ必要な人材を確保し、育てることである。これに関しては各地でさまざまな取り組みが生まれてきている。国にはそうした動きこそ後押ししてもらいたい。


PROFILE

農業ジャーナリスト

窪田新之助


日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。福岡県生まれ

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