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「21世紀の石油」であるデータは、現代農業の可能性を広げるのか?

現代の生活において、我々は石油という資源に依存している。それは農業でも同じだ。現代社会に不可欠ともいえる「石油」と並ぶくらい価値を高めてきている「データ」が「農業」に与える影響について論じる。農業ジャーナリストの窪田新之助氏が説く連載コラム第1回。

データは21世紀の石油?
現代社会に不可欠な資源

今回から本コラムでスマート農業について書くことになった。当面はその根幹をなすともいえる「データ」の価値と可能性について考えていきたい。

データの価値の大きさについては2017年夏ごろから「21世紀の石油」とたとえられている。石油といえばその恩恵は我々の社会のあらゆる場面に及んできた。すでに古代より地下から湧き出る「燃える水」の存在は知られていたが、当初は医薬品や灯油として使われる程度だった。それが産業になるきっかけになったのが1859年の米国・ペンシルバニア州。

鉄道員だったエドウィン・ドレークが地下に埋蔵された油田の採掘をなしとげたのだ。その世界初の石油発掘に目を付けたのが、世界経済の中心地だったロンドンに住む投資家らだった。新時代の燃料に投資するため、ニューヨーク・ウォール街には多額の資金が流れ込んだ。

また同時に、一攫千金をねらう連中が次々に油田を掘り進め、やがてオイルラッシュが生まれた。油田を掘り当てる大金持ち役を演じたジェームス・ディーン主演の映画「ジャイアンツ」を鑑賞した人なら、当時の雰囲気が分かるだろう。いまや石油がなければ、自動車や飛行機を動かすこともできない。化学繊維やプラスチックの素材も石油からできているのだ。


現代の農業とデータの価値

この現代に欠かせない資源に依存しているのは現代の農業も同じだ。田植え機やトラクター、コンバインといった農機を動かすだけでなく、園芸施設の室内を温めるのも重油が欠かせない。さらに石油はビニールや育苗箱など農業資材の原料にもなっており、それらを運搬する燃料も、元は石油を精製したガソリンなのだ。

現代社会にとって不可欠ともいえる「石油」を例としてあげたが、果たして本当に、「データ」はその価値を高めてきているのだろうか。これに関しては面白い資料がある。

それが、2007年と2017年の世界企業の時価総額を比較したランキングだ。2007年のデータでは、1位がエクソンモービルが(4685億ドル)、2位がGE(3866億ドル)、3位がマイクロソフト、シティグループ、ペトロチャイナと続いている。

しかし、今年1月時点では、1位がアップル(8100億ドル)、2位がマイクロソフト(7891億ドル)、3位がアップル(7153億ドル)、4位がアリババ(3805億ドル)となっているのだ。

ちなみに、フェイスブック(3424億ドル)は7位。実際に、時価総額を見てもわかるように、情報産業が石油産業を抜いており、「データは21世紀の石油」という比喩が決してたとえではないことが裏付けられている。

農業も、この流れとは無関係ではいられない。次回からデータが農業の可能性をどのように広げつつあるのかについてみていきたい。

~続きは10月公開~


PROFILE

農業ジャーナリスト

窪田新之助


日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人RobiZyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。福岡県生まれ。

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