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植物自体の状態を整える“バイオスティミュラント”とは? 農家の困りごとに新たな選択肢

2020年大注目の農業資材「バイオスティミュラント」。非生物的ストレスを和らげ、植物そのものを丈夫にする効果を持ち、昨今の異常気象にも対応するものとして期待されている。その効果と役割を押さえて、農業の“困った”に対処する新たな選択肢を手に入れよう。

バイオスティミュラントとは?

「バイオスティミュラント(Biostimulants)」――直訳すると「生体刺激資材」。植物に対する「非生物的ストレス」を制御することにより、気候や土壌のコンディションに起因するダメージを軽減し、植物の健全な育成を促進する資材だ。

食料を安定的に生産するために、人類は優秀な作物遺伝子資源の開発=育種を筆頭に、病害虫から植物を守る農薬、植物の栄養となる肥料、土壌の性質を変化させて農業生産に役立てる土壌改良材、といった技術を進化させてきた。

一方、バイオスティミュラントは植物自体の状態を整える漢方薬的な働きをしてくれるため、肥料の効きを良くするという特徴を持った全く新しい資材だ。

作物は遺伝的に、種の時点で収穫時の最大収穫量が決まっている。

ところが、発芽時や苗の時期、開花時、結実期、収穫直前などに、病気や害虫(生物的ストレス)、高温や低温、物理的な被害(非生物的ストレス)により、本来、収穫できるはずだった収量が減少していく。このうちの「非生物的ストレス」による収量減少を軽減することが、バイオスティミュラントの役割である。
 

世界中でブレイクの兆し!

まだ認知度の低いバイオスティミュラントだが、2014年に世界の市場規模は1400億円に達しており、2021年には2900億円に拡大するともいわれている。

その先頭を行くのがヨーロッパ(EU)であり、ここ数年の年間成長率は10〜12%で推移している。その一因として、自然素材や食品の廃棄物を有効活用したり、減農薬栽培を試みるなどの社会的背景があると考えられる。

現状、バイオスティミュラントは法的には規定されていないが、規格化・標準化に向けた動きは徐々に始まってきている。EUでは2022年5月から施行される新肥法にバイオスティミュラントや微生物資材について包括的に記載され、施行後はCEマーク(商品がすべてのEU加盟国の基準を満たすことを証明するマーク)をつけることが可能になる。

一方、日本でも2018年1月に日本バイオスティミュラント協議会が発足。バイオスティミュラントなどを扱う企業で構成され、2020年1月時点では、正会員21社、賛助会員47社(合計68社)が参加している。




 

バイオスティミュラントと各資材の違い/

農薬


生物的ストレスを緩和する。(病害虫から農薬を守る)

バイオスティミュラント


非生物的ストレスを緩和する。


 

肥料


植物に栄養を供給する。

バイオスティミュラント


植物栄養素の取り込みを高める。


 

土壌改良材


土壌を物理的、化学的、生物的に変化させる。

バイオスティミュラント


植物をより良い生理状態にする。




illustration:Hiroshi Kawai
text:Reijiro Kawashima

AGRI JOURNAL vol.14(2020年冬号)より転載

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