お米を“循環型”で生産。魚沼産コシヒカリの産地で導入が広がる、JAS有機のミネラル肥料とは?
2023/10/10
圧倒的なブランド力を持つ魚沼産コシヒカリ。その魚沼産コ シヒカリの産地の一角をなす新潟県十日町に、安心・安全な上に“循環型”の水稲栽培を志向する生産者がいる。
写真右:雪の魚沼 代表取締役 大島秀人さん、写真左:朝田ケミカル 岡村一彦さん
安心安全なミネラル肥料を
液肥にして葉面散布
新潟県十日町市には、日本一長い河川である信濃川が流れている。信濃川とその支流が形成した河岸段丘の雄大な景色と、日本有数の豪雪地帯であることも有名だ。そして何より、十日町市は魚沼産コシヒカリの産地である。
十日町市の「雪の魚沼」で栽培するコシヒカリ。
十日町市で先祖代々農業を営んでいるのが、雪の魚沼の代表取締役を務める大島秀人さん。米の生産販売・作業受託などを行っている。圃場面積は40haで、コシヒカリ(特栽、農薬・化学肥料不使用、合鴨農法など)32haと、近年人気の新之助8haを従業員5名で管理している。そんな雪の魚沼は、安心・安全なお米を“循環型”で生産している。
コシヒカリは独自ブランド『雪しずく』として販売している。出荷先の1/3はJAと卸で2/3が直販。直販はECサイトの他、地元の旅館やお寿司屋さん、東京や名古屋の有名店にも提供している。
「農薬と化学肥料を控えるのは安心・安全のため、というと格好つけすぎで、趣味みたいなものですかね(笑)。せっかく作るのだから 特別おいしいお米を、この十日町でこれからもずっと作り続けたい。だから肥料にはこだわっています。そこで一部のお米では、ひと山越えた柏崎市で製造されている、魚のアラを主原料とする有機JAS認定肥料を使用しています。食べる人と作る人の安心・安全、それに地域社会の持続性を考えてのことです」(大島さん)。
雪の魚沼 代表取締役 大島秀人さん
循環型農業という観点からはもう一つ、自慢の資材を『新之助』に使っているという。それが有機JAS登録されているミネラル肥料『こっこりん』だ。
大島さんはこっこりんについて、「葉面散布のほか、育苗にも使っているので根張りが良く、異常な高温が続いた今年も、収量品質ともに例年以上に期待できます」と話す。
「新之助は近年人気ですが、いもち病や紋枯病が発生しやすい。今年の夏も高温が続きましたが、『こっこりんミクロン』で作った液肥を葉面散布すると、一気に葉の緑が濃くなり稲が元気になるんです。育苗に関しては、すべての品種・栽培方法で使っています。根張りが圧倒的に良くなりますから健康な苗に育ち、収穫と食味が安定します。出穂期以降の葉面散布と組み合わせて使うことで、より効果を体感できますよ」(大島さん)。
茶色くなった芝生が
数日で緑に復活
大島さんの圃場からほど近くに ある清田山キャンプ場を運営する NPO法人GGG理事長の小針伸 広さんは、最近『こっこりん』を使い始めた。
GGG理事長 小針伸広さん
「河岸段丘を一望できる自慢のテントサイトに、芝生を敷いています。この芝生の上にキャンパーはテントを張り火を使います。その周りを子どもが裸足で走り回ります。それが大変好評なのですが、管理するのは大変です。芝生の損傷が激しく、張り替えのコストと手間が悩みの種でした」(小針さん)。
そこで雪の魚沼の大島さんから勧められて、小針さんも「こっこりんミクロン」を使用してみたという。
「『こっこりんミクロン』を葉面散布したところ、3日後には青くなってきました。オリジナルの『こっこりん』や『こっこりん細粒』は、いくら無臭とはいえ、人が立ち入る芝生には使いにくい。でも液肥の葉面散布なら問題ありません。芝生は雨が降らない夏場などは、すぐに茶色 になってしまいます。芝生の養生に掛かる手間や、張り替える経費を考えれば、『こっこりんミクロン』は安上がりです」(小針さん)。
左:散布前 右:散布後
散布前は茶色っぽかったが、『こっこりんミクロン』を葉面散布した3日後の取材時には青々としていた。「養生に掛かるコストや張り替える経 費を考えれば安上がり」と小針さんも満足気だ。
取材に同行してくれた朝田ケミカルの岡村一彦さんは「循環型農業の推進という視点からも、『こっこりん』を活用いただけると嬉しいです。必ず効果を体感していただけるはず」と話す。水稲はもちろんのこと、芝生や露地野菜、果樹にも効果があるという。ご興味を持たれた方はぜひ、朝田ケミカルにコンタクトしてほしい。
DATA
こっこりん
持続性が高い球状をしたオリジナルの『こっこりん』の他、粒が小さく速効性の高い『こっこりん細粒』、散布しやすさを高めた液肥原料『こっこりんミクロン』をラインナップしている。用途に応じて選ぶことができる。
朝田ケミカルが製造販売する独自の高温燃焼システム(燃焼炉)で、厳選した鶏卵農場から入手した鶏ふんを通常よりはるかに高温の1200°Cで焼いたミネラル肥料。窒素はほとんど含まず無臭。植物に素早く吸収される水溶性ミネラル が豊富で、多様な作物にさまざまな効果を発揮する。育苗時の根張り促進、露地野菜では連作 障害対策に、ハウスや果樹では花付きが良くなる、といった報告がある。鶏ふん肥料に含まれるミネラル類は、形を変えることでさまざまな場面で重要な役割をもたらす資材になり、持続可能な農業の一翼を担うことになる。
問い合わせ
写真/都築大輔 文/川島礼二郎
Sponsored by 朝田ケミカル株式会社
AGRI JOURNAL vol.29(2023年秋号)より転載