東京オートサロン2024でみつけた、最新の軽トラカスタム一挙公開!
2024/01/23
世界最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2024」が、1月12日~14日の3日間、幕張メッセで開催された。そのなかで展示されていた各社の軽トラカスタムを紹介しよう。
オフロード走行に全振り!
軽トラは山でも楽しい
最初にご紹介するのは、イベント開催前から注目を集めていた「スーパーキャリイ マウントトレール」。スズキが公開したカスタムカーだ。オフロードでもタフに走ることができる力強さとデザイン性を兼ね備えている。スズキは「アクティブな大人が山を楽しむためのクルマとして、ビジネスだけではなく遊びにも活躍する商用車の新たな世界観を表現した」と説明する。
目につくのは斬新なエクステリアだろう。ドアはフレームのみとされているが、このフレームは、Aピラーからルーフ、荷台へと続くロールバーと統一されたデザインが採用されている。確かにカッコいいが、こんな手法は業務用の軽トラには採用できない。
農業生産者に参考にして欲しいのは、走りに全振りしたこの「スーパーキャリイ マウントトレール」が、若干ながら車高をアップして軽量ホイール&ブロックタイヤを装備している点だ。前後に装備するアンダーガードは飛散物から下回りを守りつつ、エクステリアのアクセントとして機能している。
“アゲトラ”は決して「見た目を変える」ためだけのカスタムではない。悪路を走行する機会の多い農業生産者が採用しても納得の、機能とデザイン性を同時に向上させてくれるカスタムだ。その象徴が「スーパーキャリイ マウンテントレイル」と言えよう。
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発売したばかりの特別仕様車
「Xリミテッド」も展示された
「スーパーキャリイ マウントトレール」の横にポツンとたたずんでいたのは、スズキが昨年末に発売したばかりの特別仕様車「スーパーキャリイ Xリミテッド」。「スーパーキャリイ X LEDヘッドランプ装着車」をベースに、専用デカールが貼られているほか、メッキ部分のフロントガーニッシュやフォグランプベゼル、ホイールやドアハンドル、ドアミラーがブラックアウトされている。
圧倒的にホワイト単色が多い軽トラにあって、このカラーチョイスと専用デカールは、かなり良い感じに仕上げている。が……車両本体価格(税込み)はMTで151万3,600円と、思いのほか高価だ。この専用デカールは、自作できそうではないか? そう思われた方にピッタリの「貼るカスタム」に関する記事が当サイトで公開されるので、是非そちらも合わせてご覧いただきたい。
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ランクル顔の軽トラは
極めて完成度高し!
軽自動車向けサスペンションで知られる埼玉県越谷市のSpiegel(シュピーゲル)が展示していたのは、ランクル顔の「ハイゼットトラック」。同社のエアロブランドFUSION(フュージョン)から発売しており、純正バンパーと同寸法なので装着したままで車検に対応する。車検対応のフェイス交換は、軽トラカスタム初心者にとっても敷居は低いはず。
それでいてご覧のとおり、アッパーグリルまで一体式のフルバンパーはランクル300のZXグレードをリアルに再現している。製品価格(税込み)は19万8,000円と、比較的リーズナブルなのも魅力的だ。ネット通販も可能だが、個人宅配送負荷。ショップや整備工場といった法人宛のみ受け付けている。
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あのヨシムラが軽トラに適合する
超軽量ホイール今春発売!
ヨシムラといえば、二輪業界では知らぬ者のいないチューナーでありレーシングチームだ。一方で、私達一般のバイク好きや自動車好きに向けて、チューニング用部品を企画・製造・販売している。ご存知の方も少なくないと思うが、ヨシムラはスズキ「キャリイ/スーパーキャリイ」用マフラー「Slip-On Ovalサイクロン」を販売している。そんなヨシムラがなんと、軽トラのコンセプトカーを展示していた! 荷台に積まれているのはヨシムラパーツ満載のホンダ「モンキー」である。
ヨシムラのコンセプト軽トラは過去に当サイトでもご紹介した「ハードカーゴ」製品を多用して制作されているが、注目ポイントはホイール。実はヨシムラは老舗ホイールメーカーの「WEDS」とコラボして、軽トラに適合する超軽量ホイール「ヨシムラ WRS Seven(ヨシムラ ダブルアールエス セブン)」を発売するという。この軽トラはそのデモンストレーション用に制作された。ホイールは今春発売予定とのことなので、気になる方はヨシムラのSNSなどをチェックして欲しい!
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“可愛い”は正義!
「Funny Rider」はフェイス単品購入可
今回の東京オートサロンに出品されていた軽トラックのなかで、最も手の込んだカスタムカーを展示していたのは、過去に当サイトで紹介したことがある、神奈川県相模原市に本拠地を置くBLOWの2台。両車のモデル名は「Funny Rider(ファニーライダー)」。ダイハツ「ハイゼットトラック」(2014)をベースに制作された。
両車はいずれも荷台部分に「ここまでできるのか……」と驚かされるほど精巧なFRP製シェルを搭載している。しかもこのカスタムカーは展示用のショーモデルではなく購入可能なキット。シェルキット(税込み)は162万2,800円~。
だが、どれほど素敵だろうが荷台を業務に使う農業生産者には、残念ながら「Funny Rider」のシェルキットは不向き。それでも紹介したのは、このフロントパネルのみで購入可能だからだ。2台の印象はまったく異なるが、よく見ると表面仕上げが違うだけ。フェイスパネルキットは27万5,000円で、別途フェイス用部品・灯火類一式が4万4,000円。ご自身の「ハイゼットトラック」をファニーフェイスにしたい方に、おススメしたい逸品だ。
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ぜひ市販化して欲しい!
ヤマハのコンセプトモデル
最後に、軽トラックではないが、心惹かれる1台が展示されていたのでご紹介したい。それがヤマハ「Concept 451」。昨秋開催されたジャパンモビリティショーではスズキが特定小型原付に分類される電動パーソナルモビリティ「SUZU-RIDE/SUZU-CARGO」を展示していたが、こちらはヤマハとスタートアップ企業のFinal Aimの作品。
ヤマハは今回の東京オートサロンに「YAMAHA MOTOR PLATFORM CONCEPT」(上の写真)を核にした、多数のコンセプト車両を展示していた。このプラットフォームをヤマハは「1~2人乗りの低速パーソナルモビリティでの活用を想定したEVプラットフォームです。車体の複数連結やバッテリーの複数搭載など、用途によって仕様の変更が可能」と説明しているが、ちょっと分かりにくい。簡単に言えば、バッテリーに「ホンダモバイルパワーパック e:」を使いつつ、駆動用モーターと制御にヤマハの製品&技術を使うことで、新たなモビリティを作れるのではないか、という提案だ。
そのうちの一つがFinal Aimが設計した「Concept 451」。なんと設計にあたって、テキスト生成AIを活用したという。未来の地方における利用を想定して、1人乗り電動モビリティに求められる機能や要件を繰り返し問いつつ、同時に画像生成AIを活用してデザイン案に辿り着いたという。
取締役最高デザイン責任者の横井康秀氏は、繰り返し「我々は農業分野のニーズに詳しくないですから……」と謙遜しつつ説明してくれたが、移動のみならず軽作業もできるモビリティとして、未来の中山間地に出てくるニーズに対応できそうな、興味深い車両に仕上げられていた。
「Concept 451」のような電動パーソナルモビリティは、都市部での移動よりもむしろ、公共交通機関の存続危機に瀕している地方でこそ、より切実に求められるはず。農業分野でいえば「軽トラックの運転は厳しいが、農業は小さくでも続けたい……」という高齢者がこれから増えて行くはず。「Concept 451」は、そんな日本の地方在住高齢者が抱える課題を解決してくれる車両に育つかも知れない。今後の開発に期待したい。
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取材・文/川島礼二郎