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割れを防いで良品率アップ! 天然保水性ポリマー「EFポリマー」がニンジンのブランド化に貢献

インド発、沖縄育ちのスタートアップ企業が開発した土壌改良材「EFポリマー」。特徴である吸水力の高さにより、ニンジンの秀品率向上に貢献している現場を訪ねた。

EFポリマー社による
土壌改良材の効果とは?

「EFポリマー」が日本随一の畑作地帯である北海道十勝地域で使われ始めたことを前回報告したが、今回は南に飛び、沖縄県読谷村の新規就農者、島袋農園を訪れた。島袋農園とEFポリマー社の共催による「にんじん収穫祭」が開催され、村外からも含め200人もの来場者を集め、大盛況であった。

レポートの前に「EFポリマー」を復習しておこう。「EFポリマー」はインド発、沖縄育ちのスタートアップ企業、EFポリマー社の製品。オレンジの皮などの果物の不可食部分をアップサイクルして作られた、自然由来の超吸収性高分子ポリマー=土づくりに使える資材だ。廃棄されていたはずの作物残渣が原料であり100%有機かつ生分解性を有するから、化学合成された高分子ポリマーと比較して地球に優しい。そのうえ農業に最適といわれる自重の50倍という保水力と保肥力を有している。

この性質を活かすことで、環境に負荷を掛けることなく収量増が期待できる。十勝地域では、夏期の高温(水不足)対策として馬鈴薯の圃場に施用されており、初期成育の良化に貢献していたが、ニンジンを中心に栽培している沖縄の島袋農園では、どのような効果がでているのだろうか?

 

退職前から地道に準備を重ねて
57歳で新規就農を果たした

島袋農園は、清さん・みさえさんご夫婦で営農している沖縄県読谷村の新規就農者だ。圃場面積は約4,000坪(1.3ha)。長らく会社員をしていた清さんは、57歳のとき長年の夢であった就農を果たした。退職前から地域を回り農地を確保し、機械を手に入れるなど、清さんは着々と準備を進めた。

一方のみさえさんはパワフルだ。清さんが就農する前から一人で畑に入り、一足早く就農を開始。地域の農業生産者や村、JAと、良好な関係を築いた。ぴったり息の合った二人は、あっという間に地域農業社会に受け入れられた。そんな島袋農園と「EFポリマー」は、SNSを通じて出会ったのだとか。

EFポリマー社の高良吟二さんが教えてくれた。

右から数えて2番目の男性が高良吟二さん。中央には読谷村の石嶺傳實村長。

「当社にとって沖縄は地元ですから、まずは沖縄で使っていただきたいと考えました。SNSで目に留まったのが島袋農園でした。新規就農ですが、収穫体験の様子を積極的にSNSで発信していたり、規格外のニンジンをしりしりにして販売したりと、新しい挑戦をしている様子に魅力を感じました。島袋ご夫妻なら、当社製品のような新しい資材にも興味を持っていただけると思ったのです」

 

収穫前の雨を吸い取り
割れを防ぐことで秀品率が向上

「沖縄のニンジンは一般的に、9~11月に播種して約120日後に収穫するのですが、ちょうど収穫期に当たる2月の後半から3月にかけて乾燥した土地に急に大雨が降ると、ニンジンが急激に水分を吸ってしまい、割れが多発して困っていました」

「EFポリマー」の主たる用途は土壌の保水性の向上や夏期の高温対策だが、島袋農園では土壌の水分を適切に保つことで、ニンジンの割れを防ぎ秀品率アップに貢献していた。清さんが続けて説明してくれた。

島袋農園では、規格外品をしりしりにしたりにんじんゼリーにして販売するなど、廃棄せずに済むように工夫している。「この割れを防ぎたかった。そこでEFポリマーを使ってみたところ、割れが大幅に減少して、秀品率がアップしたんですよ」と、清さんは話す。

「みさえはJAの役員を引き受けたり、村とも積極的にコミュニケーションを取っています。皆さんに『EFポリマー』の話をしたところ凄く興味を持ってくれています。部会の方だけでなく、今回はわざわざ読谷村の村長さんも来てくださいました。遠くのJAからも『EFポリマー』の視察にいらっしゃいました。EFポリマー社は沖縄の人を応援してくれていると感じるし、私達も『EFポリマー』を応援したい。読谷村で育てているのと同じ品種のニンジンを、喜屋武では『美ら(ちゅら)キャロット』、津堅島では『津堅にんじん』と、ブランド化しています。産地として読谷だって負けていません。『EFポリマー』の力を借りながら、読谷のニンジンをブランド化して、地域を元気にしたいです」。

「ニンジンの収穫体験は、収穫期間中ほぼ毎週やっています。ここで収穫体験した方が、直売所で『島袋農園』のニンジンだから、とリピートしてくれるようになっています。それより何より、子供達に読谷の農業を知ってもらいたい。この子供達が沖縄の未来ですから」と、みさえさんは力を込めた。

昨期、島袋農園はEFポリマー社と相談しながら、「EFポリマー」を50kg(1haあたり)施用することで、秀品率向上の成果が見られた。だが清さんは「良い意味でですが……」と断ったうえで、まだ効果を完全には納得できていないのだと語った。

「ウチは割れが減ることで秀品率が上がるという効果が得られましたが、一方で、どういうわけか昨期、ネコブセンチュウの被害が大幅に減りました。これは想定外の嬉しい出来事でしたが、その理由が知りたいですね。

それに対して高良さんは「現在試験中なのですが、こうした効果についても実証していけたらと思います。これまでに『EFポリマー』を使ってくださったユーザー様からも、同様に保水性、保肥力の向上以外の効果を実感している声が届いています。『EFポリマー』は約1年で土壌で完全に分解されるのですが、水の吸水と放出を繰り返す過程で土壌にすき間を作り微生物の住み家となり、土壌の生物性を良化している可能性があるようなのです。しっかり実証試験を行い、科学的に効果を証明したうえで、ご案内しますね!」と答えていた。

「EFポリマー」は新しい資材だけに、吸水力・保肥力については証明されているが、そのほかの機能については未解明の部分もまだあるのだ。それも遠からぬうちに明らかになるはず。今後も「EFポリマー」の動向を追い続けていきたい。

5月22日〜24日まで熊本グランメッセで開催予定のJ-AGRIでもブースを出展予定。

EFポリマー社は、5/22(水)-24(金)に熊本グランメッセで開催されるJ-AGRIにブースを出展。ブースにて当社のオレンジの皮から生まれた、100%オーガニックの超吸水性ポリマーを用いて保水性のデモンストレーションを行う予定でございます。是非、お気軽にEFポリマー社のブースにお立ち寄りください!(小間番号:B2-41)

問い合わせ

EFPolymer株式会社

Sponsored by EF Polymer株式会社


取材・文:川島礼二郎

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