農家後継者が成功するために必要な5つの要素とは?
2017/12/08
成功する後継者と失敗する後継者、この違いは一体どこにあるのか。真の「後継」とはなんなのか。農家のこせがれネットワーク代表理事・宮治勇輔は、「後継者とは何かという意識の違いが、分かれ目になる」という。成功する後継者になるために、受け継ぐべき5つのこととは。
成功する後継者と失敗する後継者、
一体なにが違うのか?
前回、日本の農業における問題は「後継者不足」より、「後継者がいるのに事業承継が円滑に進んでいないこと」であると述べた。今回は、事業承継に成功する後継者と失敗する後継者の違いをみていこう。
失敗する後継者は、「社長の息子・娘(こせがれ)という立場」がすなわち後継者だと思っている。先代がいなくなってから、先代のかわりを務めようとする。
一方、成功する後継者は「先代が築いた人・もの・お金・情報・顧客と経営実務を受け継ごうとする者」が後継者だと思っている。先代が元気なうちから、いつでも先代のかわりが務まるように準備をしている。
具体的に、受け継ぐべき「先代が築いた人・もの・お金・情報・顧客」とは次のようなものを指す。「人」とは先代の持つ栽培技術であり、従業員・取引先・地域の人との関係性。「もの」は一般的には農地や農業機械・設備を指すが、僕はここに稼ぐ仕組みであるビジネスモデルを加えている。「お金」は現金・預貯金や共済・保険・負債、法人であれば株も含まれる。「情報」は社内に蓄積されたデータだけでなく、経営理念、家や地域の歴史、創業者の想いなどが含まれる。「顧客」については、顧客名簿はもちろん、生産者としての信用やブランド力などを示す。