注目キーワード

就農

成功した”こせがれ”から学ぶ! 農業の事業承継のあり方とは

多くのこせがれは勘違いしている?農家のこせがれネットワーク代表理事の宮治勇輔のコラム「こせがれで変わるニッポンの農業」。第2回となる今回は、こせがれの経営資源と強みの再認識について語ってもらう。

事業承継のタイミングで
強みの再確認を

農家のこせがれは幸運にも就農した時点で経営資源(人・もの・お金・情報・顧客)をもっている。後を継ぐ以上、これらの経営資源を活かして事業拡大を目指すのは当然のことである。しかし、実際はそう上手くいかない。売上を上げるための方法を履き違えているからだ。

こせがれの多くは、売上を伸ばすために新しいことに挑戦することが大切だと考えている。先代が作っている農産物を加工して、粉末にしたりジャムにしたりと、すぐ何か新しい商品をつくろうとする。

だが、重要なのは経営資源を見つめなおすこと。「先代の良いところを理解し、変えてはならない点は変えず、変えるべき点は変えること」なのだ。

千葉県の養鶏農家、北川貴た か基きさんの話をしたい。彼は就農後、都内で営業を開始する。品質は良いが割高の卵は行く先々で断られた。だが、ケーキ屋だけが取引に応じてくれた。疑問に思い、仲の良い取引先に理由を尋ねたところ、予想もしない答えが返ってきた。「こしの強い卵だからスポンジが1台多くつくれる」。

以来、ケーキ屋に狙いを定め、その特徴をアピールすることで売上は拡大していった。彼はすぐさまプリンにして売ろうとはしていない。営業での疑問を機に、卵の良いところを理解し、売りものを変えずに売り先を変えたのだ。

僕は全国のこせがれを見てきたが、こうした成功例は彼だけではない。自分たちならではの強みは必ずあるはず。ないものをつくるのではなく、あるものをどう活かすかが重要である。


みやじゆうすけ
神奈川県藤沢市在住。農家のこせがれネットワーク代表理事。実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立し代表取締役に就任。一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするべく活動中。

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 土壌の保水力・保肥力を向上させる「EFポリマー」が畑作地帯・十勝に上陸!...
  2. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  3. 知らないと損する?!農家が販促に使える持続化補助金
  4. 凍霜被害は低コスト・高効率に対策できる! 防霜バイオスティミュラント資材に迫る...
  5. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  6. アゲトラ・コンプリートからDIYペイントまで! 軽トラカスタムがアツい
  7. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  8. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  9. 強力な多年生雑草もすっきり一掃! コメリのおすすめ除草剤「マルガリーダ」とは?...
  10. 10年掛かる土壌改良が短期間で可能に! 天然腐植物質に含まれる「フルボ酸」の効果とは...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.30|¥0
2024/01/19発行

お詫びと訂正