生産者の取組み

農家の事業承継「3種の神器」とは? 老舗に学ぶ後継者育成のコツ

日本には200年以上続く企業が世界一多い。「老舗企業」は、会社が末永く繁栄するための、後継者育成のコツを心得ている。農業の場合に当てはめて、農業後継者として成長するための具体的な方法を見ていこう! 宮治勇輔の「こせがれで変わるニッポンの農業」

「老舗企業」に学ぶ
後継者育成のコツ

日本には200年以上続く企業が世界一多い。2位のドイツと比べても約2倍の多さで、人だけでなく会社も文句なしの長寿国。「老舗企業」では、会社が末永く繁栄するための、後継者育成のコツを心得ている。今回はその「コツ」から、農業後継者として成長するためにはどうすればよいかをみていきたい。

まずは入社直後。一般の社員が目にすることのない決算書を早い段階で共有する。個人事業であれば青色申告の帳簿でもよい。資産や借金の額、人件費がどれくらいかかっているのかなどを把握することで、オーナーシップが醸成される。

また、先代の目の行き届かない部署に配属させることも育成のポイント。近くにいれば小言を言いたくなる。あえて遠くに配属し、後継者の自律心を育む。農家でいえば、生産が得意な先代が苦手な販売を任せることに通じる。

また、複数の部署を兼務させ、早い段階で組織の全体像を掴ませることも行われる。組織的に大きくない農家であれば、生産現場以外の仕事を全てやらせてみることだ。

企業の営みには3つの要素がある。生産と販売と管理だ。これは農業も同様で、生産を学びつつ販売と管理を後継者が担うというのは理に適っている。

そこで後継者にオススメなのは、まず営業と経理と採用の責任者を目指すことだ。生産現場は先代に一日の長があるし、先代の居場所を取りあげてはいけない。もちろん、生産現場は最も大事だが、売上に責任を持つ営業と、お金の流れを把握できる管理部門をみることで経営者としての素養が身につく。また採用の責任者になる事も非常に重要である。自分の採用した人材は、先代ではなく自分の味方でいてくれるはずだ。

「営業・経理・採用」の、農家の事業承継3種の神器をまず抑える。これが事業承継の近道だ。

プロフィール

宮治勇輔 みやじゆうすけ

神奈川県藤沢市在住。農家のこせがれネットワーク代表理事。実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立し代表取締役に就任。一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするべく活動中。


AGRI JOURNAL vol.07(2018年春号)より転載

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