“牛が最も快適に暮らす”酪農場、村上牧場
2018/02/09
アニマルウェルフェア――直訳すると動物福祉のことで、家畜の快適性に配慮した飼養管理を行う生産システムのこと。家畜のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めようとするこの考え方が、近年、畜産界で注目されつつある。
アニマルウェルフェアを実践する
欧米ではオーガニック食品同様、アニマルウェルフェアは消費者に浸透しつつあるほか、世界動物保健機関(OIE)が基準を策定するなど、世界的に様々な動きが加速している。しかしそんな潮流とは関係なく、以前から「家畜の健康と幸せ」に配慮した農場は、国内にも少なからず存在していた。
世界的にもいま重要視され始めている、アニマルウェルフェアの考え方。家畜である牛のQOLを高めることで、いいミルクが搾れるだけでなく、心豊かな家畜との交流によって生産者自身の仕事の楽しみも増すのだ。
遠くに奥尻島を望む海辺の農場で循環型の放牧酪農を行う、北海道・せたな町の村上牧場もその1つだ。牛本来の自然な飼い方をしたいと、15年前につなぎ飼いから放酪農へ転換。
自家飼料と最小限の配合飼料(NON-GMO)でホルスタイン約40頭を、自家チーズ用としてジャージー、ブラウンスイス13頭を放牧草と乾草で育てている。
2008年には、Uターンした3代目の村上健吾さんが、農場内にチーズ工房を開設。オーガニックミルクの風味が生かされたナチュラルチーズは、輝かしい受賞歴を持つなど評判が高い。
この仕事のやりがいについて聞くと、「牛とともにある生活そのものです」。と村上さん。