注目キーワード

生産者の取組み

若手農家必見! 「事業承継」を成功させるポイント

「人・もの・お金・情報・顧客」が揃った状態でスタートする農家の事業承継。今ある強みを活かしながら、新たなビジネスモデルを構築するためのポイントは何だろうか? 宮治勇輔の「こせがれで変わるニッポンの農業」

大切なのは、
ビジョンを掲げること

農家のこせがれには、すでに先代に「人・もの・お金・情報・顧客」という経営資源があり、それを見つめ直す事業承継の機会も与えられている。

先代の経営資源を理解し、強みと弱みを把握、その強みをベースにしながら自分ができることを組み合わせ、新たなビジネスモデルを構築する。それによって自分の代を、経営者として自信を持って舵取りできるようになる。

その時、大切なのはビジョンを持つこと。「儲かりそうだから」「流行っているから」という安易な理由で動くのではなく、「こんな農家になりたい!」というビジョンを掲げ、そうなるには何から着手すべきか、課題はどこにあるのか、どんなアイデアが活かせそうかなどを洗い出す。その上で、先代に対して事業承継を打診することをオススメしたい。



たとえ、先代にビジョンが理解されなくても諦めることはない。一般企業では社内の一事業として、あるいは子会社を設立して挑戦するように、先代の元で新事業として始めるのも方策だ。成功すれば、先代も無視できなくなる。

そうして少しずつ自分の存在感を高めていけば、先代もビジョンを理解し、事業承継にも応じてくれるはずだ。

事業承継とは
「超友好的な乗っ取り」である

自分らしく、実家の農業にイノベーションを起こす。僕も27歳で「宮治養豚」を承継する際、単に父親の仕事を受け継ぐのではなく、生産から顧客の口に届けるまでを一貫してプロデュースすることができれば養豚の仕事に魅力を感じられると思い、ビジョンを掲げて承継した。

事業承継とは、これまで(先代)の価値を、これから(自分)の価値に転換するための「超友好的な乗っ取り」なのだ。

事業承継の年齢が若いほど、承継後の業績が伸びる割合が高いという調査結果もある。

焦らせるわけではないが、早いに越したことはない。いや、今日からでも事業承継に取り組んで欲しい。


プロフィール

宮治勇輔(みやじゆうすけ)

神奈川県藤沢市在住。農家のこせがれネットワーク代表理事。実家の養豚業を継ぎ、2006年に株式会社みやじ豚を設立し代表取締役に就任。一次産業をかっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするべく活動中。


AGRI JOURNAL vol.08(2018年夏号)より転載

関連記事

特集企画

アクセスランキング

  1. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  2. 凍霜被害は低コスト・高効率に対策できる! 防霜バイオスティミュラント資材に迫る...
  3. アゲトラ・コンプリートからDIYペイントまで! 軽トラカスタムがアツい
  4. 短期的・季節的な求人にはどれがオススメ? マッチングアプリ・サービス7選...
  5. 2023年注目農業アイテムはコレだ! ホームセンターおすすめの5選を紹介!
  6. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  7. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  8. 斜面の草を楽に、グングン刈れる!「超顧客志向」から生まれた草刈機
  9. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  10. 成功する農業! 有機肥料と化成肥料の基本とやり方を徹底解説

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.26|¥0
2023/2/10発行

お詫びと訂正