生産者の取組み

市町村に広がる農福連携で 耕作放棄地再生へ!

いま、農業と福祉の連携が加速している。その最先端を走っているのが一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会の取り組みだ。理事長・佐伯康人さんに、熱い思いを伺った。

耕作放棄地を
再生したい!

2015年に5ヶ所の福祉施設で活動を始め、2016年4月に法人化したばかりの一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会は、わずか半年あまりの12月現在、全国60事業所が参加するまでにそのネットワークを広げている。約1000名の障害者が耕作放棄地の再生に汗を流しており、肥料、農薬、除草剤に頼らない自然栽培で農業を行っているというから驚きだ。

協議会代表の佐伯さんに自然栽培パーティの特徴を聞くと、「孤独じゃないこと」という答えが返ってきた。雑草対策ひとつとっても、安易に除草剤を使うのではなく、みんなで手間ひまかけて草を取る。一人じゃないから、そうした作業も苦にならない。

取り組みの成果はさまざまな形で表れている。まず「農業」として見ると、通常の米の買取価格が1俵(60キロ)あたり1万〜1万2000円なのに対し、自然栽培パーティの米は約3倍の3万6000円で取り引きされている。「食物アレルギーへの懸念もあって、安心できる米を求める声は増えています」と佐伯さん。肥料や農薬、除草剤代もかからないため、経済的にも慣行農法より合理的だという。

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「福祉」の面から見た効果は、障害者に働く喜びを提供できること。施設では急に大声を上げてしまうような人でも、田んぼに出ると、すっと自然に周囲と協力しながら農作業に取り組めることも多いという。施設スタッフも一緒に作業でき、気持ちの上での負担が軽減されているそうだ。

また、地域の活性化に貢献できる効果も大きい。「土地が荒れている地域は、実はコミュニティが壊れていることが多い」と佐伯さんは指摘する。そこに福祉施設のメンバーが大勢で関わることで、耕作放棄地そのものだけでなく、地域の再生にもつながるというのだ。「施設に追いやられていた人が、地域に欠かせない人として地域に戻っていけるんです」(佐伯さん)。

地方公共団体からの引き合いも多く、来年度からは全国の自然栽培農家とも連携しながら、栽培指導できる人を各地に派遣、さらに活動を加速化させていくという。農業と福祉の分野にまたひとつ、新しいトレンドが生まれている。

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愛知県豊田市の、社会福祉法人無門福祉会の稲刈りの様子。

自然栽培パーティ全国協議会の目標は、1000事業所1万人の障害者で耕作放棄地1万haを再生すること。障害者のひと月の平均工賃を今の4倍近い5万5000円に上げ、自立できる暮らしを目指すことだ。この取り組みは、2016年の「第4回グッドライフアワード」で環境大臣賞最優秀賞を受賞した。「確実に時代の流れが変わってきていると感じています。慣行農法からのシフトを躊躇している人には、いつまで肥料や農薬に頼ってるの? と言ってもいい時代になってきましたね」(佐伯さん)。


一般社団法人
農福連携自然栽培パーティ
全国協議会 理事長
佐伯康人


写真/Tsuyoshi Kishimoto
文/ Kazuko Kojima
制作協力/コトノネ編集部

※「AGRI JOURNAL」Vol.2より転載

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