タマネギ農家の作業が半分に! 機械導入の魅力とは
2018/01/16
農水省が発表した「2017年農業技術10大ニュース」に、青切りタマネギの収穫・出荷効率をアップする「新型収穫機」と「専用のフレコンバッグ」が選ばれた。作業を機械化することによる、生産者のメリットとは?
タマネギ生産の現状と
農家の負担
タマネギの生産工程において、収穫量の多い北海道では大型の機械化体系が確立され、生産量も安定している。その一方で、都府県のタマネギ産地では、収穫したタマネギの積込・搬出・根切り・葉切り(調製)が依然として手作業で行われていることが多い。これは生産者の負担となるだけでなく、作付面積の維持・拡大に歯止めをかける要因にもなっている。
このような課題を払拭すべく、香川県農業試験場は、香川県中讃農業改良普及センター、株式会社ニシザワ、株式会社和田オートマチックスと共同で、青切りタマネギを省力的に収穫・調製する新たな機械化体系を開発した。
手作業に比べ
労力はたった半分に!
新たに開発されたのは、トラクタ装着式「新型収穫機」と専用の「フレコンバッグ」の2アイテム。
新型収穫機:タマネギを根葉付きで畝ごとまとめて掘り上げる。掘り上げたタマネギはフレコンへ収納される。
フレコンバッグ:底面が全開し、収穫物をスムーズに排出。フロントローダーやフォークリフトで吊り上げて運搬できるため、省力で高効率な作業が可能に。
これらを用いた際の収穫時間は2.0時間/10aとなり、タマネギの積込・運搬作業が機械化できるため、従来の小型コンテナを使った収穫体系に比べて労働負担は大幅に軽減。さらに、既存の調整器と組み合わせることで、収穫から調整までにかかる労力(作業時間×人数)は、半分程度にまで抑えることができるのだ。
「新型収穫機」と「フレコンバッグ」を使用し、労働負担の軽減と作業時間の短縮を図ることで、作付面積の維持・拡大はもちろんのこと、生産量の増大、農家の所得向上にも期待がかかっている。
タマネギ生産に使用される調製機は平成26年から販売が開始され、177台(平成29年11月現在)が普及している。また、新型収穫機とフレコンバッグは平成28年度から販売が開始され、加工・業務向けに出荷を行っている農業生産法人等を対象に、現在8台が導入されているという。
現時点で、「新型収穫機」と「フレコンバッグ」は青切り出荷体系のみ利用できるが、今後フレコンでの乾燥手法も確立できれば、乾燥出荷体系への利用などさらなる普及拡大が期待できそうだ。
DATA
香川県農業試験場
香川県中讃農業改良普及センター
株式会社ニシザワ
株式会社和田オートマチックス
農水省「2017年農業技術10大ニュース」