再エネ・最新技術

市街地や住宅地でも安心! 少量の薬剤でムラなく散布する最新ドローン

ヤマハからついに、薬剤散布ドローンが発売! 無人ヘリコプターで独走し、現場で本当に役立つ一台「YMR-08」の魅力とは?

中小規模の農家こそ
ドローン散布が有効

就農者の高齢化と減少とが同時に進み苦境を迎えている日本農業だが、農地の集約化が進み、作業の効率化・省力化も進んでいる。2017年、日本における無人ヘリコプターによる薬剤散布は、年間延べ面積100万ヘクタールを超えた。これは国内水稲作付面積の40%以上をカバーしたことを意味する。

だが、無人ヘリコプターによる薬剤散布が、全ての稲作農家の課題を解決できるわけではない。無人ヘリコプターによる薬剤散布には相当の作付面積が必要となる。そのため中小規模の農家にとっては手が出なかった。中小規模の水田の多くは、山間地や市街地・住宅地にある。水田で効率的に、的確に空中散布するには、ドローンが不可欠なのだ。

1haを15分で散布!
現場で役立つドローンを開発

そうした背景のなか、ヤマハが遂に農業用マルチローター(ヤマハはドローンをマルチローターと呼ぶ)「YMR-08」を発売する。ターゲットは中小規模の個人農家だ。

「YMR-08」は、1回のフライトで1ヘクタールの連続散布と、同社製無人ヘリコプターに匹敵する高い散布品質を備えている。ドローンとして「散布現場で本当に必要なものは何なのか?」を基本設計思想としており、狙い通りの農薬散布ができる散布装置を目指して開発された。既存の6軸レイアウトでは、薬剤を狙った場所に散布するための下降気流であるダウンウォッシュを得られなかった。そこで二重反転ローターの採用により、力強いダウンウォッシュ散布性能を持たせている。薬剤飛散が少ないから、市街地・住宅地での散布にも使えそうだ。

また、オペレーターの負担と農薬散布ムラの低減を狙いとした3つのフライトモード選択機能を搭載。ノーマルモードのほか、速度維持機能を持たせた自動クルーズコントロールモード、それに自動ターン機能を持たせた自動ターンアシストモードだ。自動ターンアシストモードでは、散布スイッチをオン・オフするだけで機体が4mの間隔で自動にターンしてくれるから、均一でムラのない散布と、機体操作の負担と疲労を軽減してくれる。また機体操作に習熟していない操縦者にも優しい。これは将来の自律・自動散布を視野に入れたモードと言えそうだ。

バッテリー、モーターともに
こだわりの日本製

本機に掛けるヤマハの意気込みを表しているのが、メイド・イン・ジャパンにこだわって開発した、カートリッジ式バッテリーとモーターだ。専用バッテリーはTDKとの共同開発品であり、ワンタッチで簡単に着脱できる。その手軽さは、電動アシスト自転車のバッテリーを想像して頂ければ良いだろう。小型軽量高性能なモーターは、日本電産との共同開発品。モーター温度が上昇すると保護モードに入り、焼損を防止する機能を持たせている。

また、市街地・住宅地での使用を考慮していることもあり、ローターはカーボンファイバーとコンポジットのハイブリッド構造とされている。これは衝撃低減と、万一の破損時にブレード破片が飛散しにくくするための配慮だ。

1ha1枚の圃場を散布するために必要な農薬8リットルを搭載して、散布に掛かる時間は余力をもって15分だという「YMR-08」。本機の発売を見越して、ドローンによる農薬散布のためスクール「ヤマハマルチローターアカデミー」を11月より開講するという。いよいよ中小規模の稲作農家がドローンの使用を検討する時代になったのだ。

ヤマハ「YMR-08」
発売予定:2019年3月
希望小売価格:275万4,000円(税込、散布装置は別売)

DATA

ヤマハ発動機株式会社


Text:Reggy Kawashima

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