注目キーワード

最新技術

「スマート農業」の現状と進む先は?

ハウスでトマトを周年育てて販売すると、そこそこうまくいって、1年間で1平方メートルだいたい5千円ぐらいの売り上げになります。

仮に20アールのハウスなら約1千万円です。もしIoTで環境を見える化し、アプリで解析して生産環境を改善できると、少なくとも10%くらい収穫量がアップした事例が多いです。それは100万円の売り上げアップになります。5年くらい持つIoT機器とアプリが50万円程度で買えれば、売り上げ増の10%で償却できます。

また、不在時に異常な環境になったら、警報のメールを送信することができるなど、リスク防止や安定生産にもメリットがあります。機器の価格低下に伴い、小規模なハウスなどにもこういった機器がどんどん導入されるようになるでしょう。

高齢化と後継者不足で農業人口は減っています。将来の農業生産を担うのは、若い新規就農者、定年退職者、移民労働者の方たちなどではないか思いますが、全く農業経験の無い場合がほとんどです。
その時に重要な短期的な技術習得、優秀な技術の継承も、IoTのサポートが期待されている分野です。人ではなくロボットに代わってしまっているかもしれませんが。

課題は、優秀なアプリの開発がどれだけできるか。それが、今後は重要になってくると思います。


星 岳彦氏
近畿大学 生物理工学部 教授
施設園芸および植物工場に関する環境制御システム、生産支援システム等を研究を実施。農業情報学会副会長、生物環境工学会理事、スマートアグリコンソーシアム技術顧問などを兼務。


※『EARTH JOURNAL』vol.2より転載

< 12

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. トマトの試験で収穫数、収益がアップ! 海藻由来のバイオスティミュラントの効果は?...
  2. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  3. ゲノム編集と遺伝子組み換えの違いは? メリットを専門家が解説
  4. 東京オートサロン2024でみつけた、最新の軽トラカスタム一挙公開!
  5. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  6. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  7. AIソリューションが実現する高精度な収穫量予測 正確な予測で効率&利益アップ!...
  8. 【植物工場ビジネスの最新動向と課題】現状は赤字が約半数。エネルギー削減の取り組み進む...
  9. 今買えるEV軽トラから特定小型まで! 農業で活躍するモビリティを一挙公開!...
  10. 消費者へのアピールに“万田酵素”を活用!? 野菜や果物、米の販売時に専用ラベルで差別化...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.33|¥0
2024/10/09発行

お詫びと訂正