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農業経営支援クラウドサービス 「ベジパレット」採用で、スムーズな収支管理を実現

農業経営における課題解決や、規模拡大などの新たなチャレンジの際にポイントとなる、経営データの見える化。DX化を取り入れる現場では、生育状況や日々の作業などの記録のほか、圃場・作付ごとの収支管理も一括して行える「ベジパレット」が活用されている。

圃場・作付ごとの収支データを
経営判断の指標として活用

■導入事例① かぶや(千葉県)

原油価格の高騰や世界経済の混乱は引き続き農業経営にも大きな影響を及ぼしており、燃料や肥料、飼料などの値上がりによる生産コスト増加への対策が重要となっている。このような状況においても利益を上げていくために、生産者自らの経営面でのデータ分析とリアルタイムな予実管理が今後ますます求められることとなる。

千葉県香取市で小かぶ農家を営む「かぶや」では、効率的な作業管理と収支管理の実現のため、播種の時期、日々の作業、収穫、出荷までの記録のデータ化を開始した。その際に採用したのが、農業経営支援クラウドサービス「ベジパレットだ。

かぶや 熱田正人さん。千葉県香取市の5haほどの圃場で小かぶを中心とした野菜を栽培。ブランドとして生産している「艶こかぶ(あでこかぶ)」は関西と東北のスーパーマーケットのほか、ミシュランに名を連ねる京都の懐石料理店でも扱われるなど、品質の高さが評価されている。

ベジパレットは、作業や作物の生育の記録をクラウド上に蓄積して活用できるサービス。圃場管理のサービスは他にも多数存在するが、かぶや代表の熱田さんは「“圃場ごと、作付ごとの収支管理ができる”という点に共感しました」と話す。

ベジパレットは圃場の工程管理にとどまらず、従業員の時間給のデータや、購入した時の資材の量・価格のデータから、作付ごとに経費計上して売り上げと合わせることで、作付単位・圃場単位での収支が見える化できる。

「1反・10a単位での売上で収支を判断しているケースがこの辺りの農家では一般的ですが、うちは従業員を雇用していることもあって、もっと細かなレベルで収支を把握する必要があります。原価計算や収支管理は、品質を担保しつつも効率的な圃場の運営を実現する圃場管理とは異なる観点のものですが、さまざまなデータが集積できるプラットフォームがあれば、何を把握するにしても効率が良くなるのでありがたいと感じました」(熱田さん)。

作物別の収支

作物別収支の画面。作物の品目、作付数、経費、収支がひと目で確認できる。※グラフはイメージです



売上実績(作物別)

売上実績(売上金額・売上数・廃棄数)の画面。出荷先別や月別、作物別で確認できる。※グラフはイメージです



一覧表示画面(ダッシュボード)

様々なデータをダッシュボードで一括管理。作物ごと、圃場ごとのデータを並べて見える化できる。視覚的にわかりやすく、次の一手を考えるうえで便利だ。※グラフはイメージです

 

 

農福連携の現場でデータ分析
販路の選択で収益を最大化

■導入事例② エシカルベジタブルス八王子(東京)

一般社団法人都市農福を推進する会(以下、同法人)では、発達障がいや難病などさまざまな理由から働きづらさを感じている人が、農業を通じて社会参画できる環境づくり「農福連携」(農業と福祉の連携)を目指し、2021年に都市型農園「エシカルベジタブルス八王子」を開所した。そこで、メンバーとともに運営する圃場における作業記録や、圃場ごとの収支管理など営農活動に必要な情報管理を行う基盤として、ベジパレットを採用している。

一般社団法人都市農福を推進する会 代表理事 渡辺章子さん。エシカルベジタブルス八王子で作る野菜について「甘くて美味しく、料理に使うと映えるモノづくりを意識し、紫や白の人参をはじめ、赤い大根やピンクのじゃがいもなどのカラフルな野菜を作っています。一緒に働くメンバーだけでなく、育てている野菜も含めて多様性を積極的に取り入れています」と語るように、多彩な品目を育てる。

渡辺さんは元銀行員。それだけに、単なる就労支援だけにとどまらず、作付した圃場の収支管理を徹底させ、しっかりと収益をあげる仕組みづくりも意識している。だが、その環境づくりに欠かせない情報基盤に課題があった。コミュニケーション・アプリを使って日々の作業報告を行っていたものの「例えば種代がいくらかかったのか、この圃場は昨年どんなことをしていたのかといった過去の情報を振り返り活用することができず、同じ過ちを繰り返してしまう状況でした」と話す。

過去の経験をデータとして蓄積しながら、在籍している発達障がいなどを持ったメンバーと情報共有する仕組みが求められる中で出会ったのがベジパレット。

「一緒に働くメンバーとの情報共有や利用者自身からの情報発信が可能になり、日々の作業を記録して蓄積していくことができるなど、本来自分達がやりたいことが実現できると感じました。さらに将来的なバージョンアップで、独自のマニュアルが予定から参照できるようになったり、字を書くのが苦手なメンバーに対して音声入力で情報が記録できたりと、私たちにとってうれしい機能が追加されるということも決め手です」(渡辺さん)。

圃場でのベジパレット利用イメージ

原価計算も含めた収支管理はこれからの課題だが、現状役立てているのは出荷管理とその分析だ。渡辺さんはベジパレットの出荷記録をもとに、どの販路を経由すると収益を最大化することができるのかを検討しているという。

「販路によっては高い金額で取引できるところもあれば、多少傷があってもまとめて購入いただけるところもあります。販路の特性や収益を意識しながら出荷先を検討する際にも、ベジパレットの出荷記録を参考にしています」(渡辺さん)。

目指すのは、データドリブン型の農業経営。農業経営者として必要な数字の把握がしっかりできる「ベジパレット」に期待を寄せる。

この図では品目別の収支だけを見ると大根は稼ぎ頭に見えるが、圃場ごとの収支で見てみると実は赤字が隠れている。このような問題を見える化し、気付くことができるようにするのが「ベジパレット」。どのくらいの損失なのかをデータで把握し、改善に繋げることができる。

ベジパレットはリリースから1年が経ち、さらに記録の手間を減らすために自動入力の開発も進められているという。作業や生育管理だけでなく、収支の管理まで効率的に行いたい方は一度、使用感を試してみてはいかがだろうか。

check! 記録する手間を解消するためスマホにも対応!

「ベジパレット」はiOS/Androidのスマホアプリにも対応しており、作業現場からそのまま工程の入力ができることも強み。アプリを起動したら項目を選び、開始と終了をタップするのみ。見やすくタップしやすいレイアウトで、手袋をしていても親指を1本外すだけで操作可能だ。忙しい作業の前後でも簡単に記録が行える。


予定や履歴などから作業内容を選んで、作業の開始・終了ボタンを押すだけで時間を記録できる。

 

 

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株式会社ユニリタ

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