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<若手農家の挑戦>地域の魅力を価値に変える!

限界集落に移住して今年で4年目を迎える田畑さん。移住先での生業として選んだのが有機農業だった。日曜市で評判となった田畑さんのトマトは、地域の魅力を価値に変えた農産物だった。

前記事 <若手農家の挑戦>限界集落への移住、成功なるか?

怒田産のトマトに
高付加価値をつける

移住先でトマトの栽培をはじめた田畑さんが、目指したのは「試食したら思わず買いたくなるトマト」だ。糖度だけでなく酸味とうまみを感じられる、メリハリある味に仕上げたいと考えた。標高は約300mから600mの中山間地域にある怒田(ぬた)集落は、日中と夜間の気温差が大きい。そのため、甘みのつよいトマトが育ちやすい地域だ。そこに、まろやかな酸味を加えることでトマトのうまみが引き立つ。

就農してからの2年間は、とにかく研修先での学びを模倣することに必死だったと言うが、試行錯誤を繰り返すうちに少しずつ自分のスタイルが見えはじめたそうだ。「たとえ失敗しても次の栽培に活かすことで、理想の味に近づいていくのが嬉しいですね」と説明する田畑さんは、チャレンジ精神に溢れている。

また、夏でも冷涼な怒田集落の気候を活かし、夏秋トマトに力を入れる。トマトは気温が35℃を越えると結実しにくくなる。暑い日が続く7、8、9月にも生産が可能な「怒田産のトマト」は、大きな付加価値になった。

日曜市での販売で地域に
興味を持ってもらいたい

高知市内で毎週開催される日曜市では、収穫したトマトをコンテナに入れ量り売りで販売を行う。単価は1kgあたり1500円。味には自信があった。まずは、味を知ってもらうために積極的に試食をおすすめした。

田畑さんの思惑どおり、試食をすることで購入してくれるお客が多く、次第にリピーター客が増えていった。コミュニケーションが活発になれば、産地にも興味を持ってもらうことに繋がる。田畑さんの育てる「怒田産のトマト」は、日曜市で評判となり時には行列が出来るほどだ。1回で5〜6kgも購入するお客もいるという。現在、ピーク時の販売額は1日10〜12万にもなる。

お客の要望に応えるため、来年からはトマトの栽培面積を4aから6aに規模を拡大する予定だ。しかし、たとえトマトが大量に売れたとしても、栽培規模をむやみに拡大することは考えていない。一目惚れした美しい怒田集落を守ることが一番の目的だからだ。

「稼ぐ仕事と、集落を守る仕事の両立が大切です。これからは、怒田集落を持続可能な集落にする活動に力を入れて行きます」。田畑さんの集落再生への一歩は、すでに踏み出されている。

 


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photo: Kentaro Kumon text:Tomoko Kotaka

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