鈴木農相 8月4日記者会見「政府備蓄米の販売・使用が長期化、機動的な放出体制を構築したい」

鈴木農林水産大臣は8月4日の記者会見で、昨年から放出していた政府備蓄米の事業者による販売や使用が長期化したことについて、「備蓄米の機動的な放出が可能となるよう、円滑な備蓄体制の構築に取り組んでいきたい」と述べた。

メイン画像:記者会見する鈴木農相(出典 農林水産省)

鈴木農水大臣
記者会見概要

大臣 農林水産物・食品の輸出実績についてであります。2026年 1月から6月までの上半期の輸出額につきましては、過去最高を記録した昨年同期と比べても10.9%増の8,977億円となり、今期も過去最高を更新することができました。

国・地域別では米国、香港などの主要輸出先国のすべてが対前年同期比でプラスを記録いたしました。また品目別でも牛肉、リンゴ、コメ、緑茶など多くの品目が上半期実績で過去最高を更新しています。この結果は日々輸出に携わる事業者のみなさまのご尽力の賜物であるというふうに考えております。

他方で2030年の輸出額目標5兆円の達成に向けましては抜本的なペースアップが不可欠であります。このため政府一丸となって現地形商流への売り込みの強化、輸出産地の育成や輸出事業者の裾野の拡大、輸入規制の撤廃に向けた協議の加速化など、関係省庁とも連携をし、取り組みを推進してまいります。輸出実績の詳細につきましてはこのあとプレスリリースいたします。

また熊本地震における食料支援や被災状況への対応につきましては、先ほど省本部の場でも私の方から申し上げさせていただきました。

食料支援につきましては、特に避難がだんだん長期化してくればそれぞれのニーズというものも変わってきます。きめ細かくしっかり最後まで被災者のみなさまに寄り添った対応ができるように現場で対応させていただきます。また農林水産関係の被害状況としましては、だいぶ細かい点も含めてわかってまいりまして、被害も積み上がってまいりました。

特に農地・農業用施設2,380ヶ所、いま判明しているものでこれだけありますので、まだまだ水田含めて水が必要な状況もありますので、できる限り水の手配ができるように、われわれとしても最大限応急復旧取り組みをさせていただきます。

また最後に、先週の会見で幹部人事について発表させていただきましたが、あらためて今回退職をされます渡邊事務次官、渡邊農林水産審議官、そして小坂林野庁長官、杉中輸出国際局長をはじめ、我が国の農林水産業の発展に長い間ご尽力をされてきましたみなさまのご活躍に心から敬意を表させていただきたいと思います。私自身の役所時代の先輩のみなさんでもありますので、この場をお借りして感謝の気持ちをお伝えさせていただきたいと思います。本当にお疲れ様でした。

―日本産の農林水産物・食品の輸出について伺います。先ほどおっしゃっていただいた通り、今回の上半期の実績は過去最大とはなったものの、今回の伸びは10.9%ということで、前年同期の15%ほどというところからはやや伸び悩んでいるというふうにも見えるかと思います。先ほどおっしゃっていた5兆円目標というところに向けては抜本的なペースアップというところもおっしゃっておられましたが、具体的にこの目標に近づけていくためにどういったことの取り組んでいきたいかお考えをお聞かせください。

大臣 農林水産物・食品の輸出額2030年5兆円の目標に向けては、残り5年で年率で24.1%の増加が必要であり、抜本的なペースアップが不可欠であります。このため先ほども申し上げましたが、まずは日系のみならず拡大余地の大きい現地系のスーパー、そしてレストランに食い込んでいくということ。商流への売り込みの強化、そして2点目としまして、現在の主要輸出先国・地域以外の東南アジアやイスラム圏などブルーオーシャン市場への売り込み強化などにより、輸出先国の多角化を図っていくこと。

そして3点目は、現地から求められるロットや価格、また旺盛な海外需要に対応できるように輸出向けの供給力を強化をするということ。これ特に緑茶などの世界では需要はあるけれど供給が追いつかないといった事態になっておりますので、そこに対する対応をしっかりやること。そして4点目として、食品安全規制などの非関税障壁の撤廃・緩和などの協議の進展を図ること。これらに取り組む必要があるというふうに思っております。

こうした方針に沿って輸出に取り組む事業者と一緒に政府一丸となって輸出拡大に向けた施策の強化を図り、輸出額の増加に着実につなげてまいります。
 
―昨年から放出していた政府備蓄米の事業者による販売や使用が7月で終わったところだと思います。2025年産の需給や価格に与えた影響についてどのように見ているかということと、また特に売り切り時期については、当初は新米の価格に影響を与えないように8月末までに売り切るように求めていたと思いますが、結果的に25年産と競合することになったことについてどのように受け止めていらっしゃるかお願いたします。

大臣 まず昨年3月から主食用として売り渡しを開始した計59万トンの政府備蓄米につきましては、契約手続きに時間を要したことなどにより、結果としてスーパー等において昨年8月末までに販売が完了せず、令和7年産米が出回り始めた9月以降も販売されておりました。このことにより民間在庫量などを通じた需給や店頭での価格動向に対してまったく影響がなかったとは考えておりませんが、他方で銘柄米、ブレンド米、随意契約の備蓄米という異なる価格帯のおコメが店頭に並び、消費者の選択の幅が広がる結果となったというふうに考えております。

この随意契約による28万トンの政府備蓄米につきましては、小売事業者等を対象に昨年5月下旬から売り渡しを開始し、本年3月までに買い受け者への引き渡しを完了したところであります。

買い受けた小売事業者等からはその後、本年7月中旬までにすべてを販売・使用した旨の報告がありました。販売・使用が長期化した要因としては、まず今回の政府備蓄米の売り渡しにおいて買い受け者の要件確認や契約手続き、配送手配の個別対応などに非常に多くの時間を要したこと、そして政府備蓄米の倉庫がコメの主産地である東北や北陸に多く配置されており、消費地への輸送に時間を要したこと、また出荷前の品質確認、いわゆるメッシュチェックと言いますが、これに多くの時間を要したという課題も明らかになりました。

また本年7月中旬まで販売が継続した理由について小売事業者のみなさまにも聞き取りを行いましたが、現下の需給状況で販売ペースが当初想定していたよりも遅れてしまったこと、あとは備蓄米と7年産米をブレンドして販売したことで想定よりも時間を要したとの声も上がっております。

こうした課題も踏まえて、今般の食料法改正により、まずは民間備蓄制度を創設しております。そして売り渡しの方法や倉庫の地域偏在などを見直すべく、引き続き政府備蓄米の保管管理を委託している民間事業者とも意見交換を進めているところでありまして、今後備蓄米の機動的な放出が可能となるよう円滑な備蓄体制の構築に取り組んでまいります。 

DATA

鈴木農水大臣 記者会見概要
鈴木農水大臣記者会見 動画


取材・文:アグリジャーナル編集部

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