注目キーワード

最新技術

ICTで生産ノウハウを共有!茨城の地域農業の成功例

茨城県農林水産部産地振興課では、平成27年度9月から、県オリジナルのイチゴ「いばらキッス」のブランド強化のためにICTの活用を開始、着実に成果を上げている。県と一緒に現地実証を行っている濱野さんの圃場で話を伺った。

今回話を伺ったのは、左から鈴木さん(茨城県農林水産部産地振興課)、木村さん(茨城県農業総合センター農業革新支援専門員)、そして、いばらキッスを生産する濱野さん。

県の主導によるICT導入
2年目ながら順調に成果

茨城県では、特産品のイチゴについて、オリジナル品種「いばらキッス」を開発、生産促進とブランド強化に取り組んでいる。そのためには、品種特性にあった最適な栽培管理を徹底して、品質を向上させることが必要だったことから、昨年平成27年度9月からICTを導入する事業をスタートさせた。

「当初は環境データを見える化して栽培しやすくすることで、『いばらキッス』をさらに普及させていくのが狙いでしたが、情報共有で生産農家全体の底上げが可能なことがわかり、アグリネットを使った現在のカタチになっています」(鈴木さん/茨城県農林水産部産地振興課)。

仕組みは、ネポンが提供するアグリネットを県が購入、4軒(※2年目から8軒)の優良生産農家に実証用として機器を設置してもらい、収集した栽培環境のデータを他の生産者と共有するというもの。「永年培った栽培技術を、他の生産者に教える事になるので、設置を断られるケースも考えられましたが、今回お願いしたみなさんは、県産ブランド強化の意図を理解していただき、とても協力的でした」(木村さん/茨城県農業総合センター農業革新支援専門員)。

実際に機器を設置している濱野さんも、そのメリットは大きいと感じているようだ。

「30年以上イチゴを作っていますが、経験と勘がすべて。あやふやな部分もあり、そうした部分がデータで見える化できたことが大きい。例えば、ハウス内の温度は、冬場は日が出て8時半ごろから上昇しますが、地温は10時ごろまで下降が続くことがわかった。おかげで、年間を通して温度が一定な井戸水を、水やり用としてだけでなく、地温管理にも活用するようになったんです。また炭酸ガス(CO2)も、これまでは日の出前にプロパンを焚いて供給していましたが、データから明け方に地面から炭酸ガスが出ている事がわかった。供給する時間をずらし、短くできたので、約50%の経費削減につながりました」(濱野さん)。

アグリネット導入によって、昨年は品質・収量ともに向上、市場からも高評価を得た。作付面積も1年目の7.2 haから、2年目は8.6 ha(※推定)と増え、成果は順調に出ていると言えよう。

見た目も味もいい茨城県のオリジナル品種「いばらキッス」。今年は、天候不順で定植が遅れ、出荷は12月上旬からとのことだったが、クリスマスシーズンを控え、収穫前ながら「すでに予約でいっぱいだ」と濱野さんも嬉しそうに笑う。

ibarakiss-1

12>

関連記事

農業機械&ソリューションLIST

アクセスランキング

  1. 土壌の保水力・保肥力を向上させる「EFポリマー」が畑作地帯・十勝に上陸!...
  2. 軽トラカスタムの新潮流!親しみやすさが人気の『レトロカスタム』
  3. 知らないと損する?!農家が販促に使える持続化補助金
  4. 凍霜被害は低コスト・高効率に対策できる! 防霜バイオスティミュラント資材に迫る...
  5. JAが「農業協同組合」であり続けるために 経営危機を乗り越えるためにすべきことは?...
  6. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  7. アゲトラ・コンプリートからDIYペイントまで! 軽トラカスタムがアツい
  8. 低コストで高耐久! 屋根の上で発電もできる「鉄骨ポリカハウス」
  9. 強力な多年生雑草もすっきり一掃! コメリのおすすめ除草剤「マルガリーダ」とは?...
  10. 10年掛かる土壌改良が短期間で可能に! 天然腐植物質に含まれる「フルボ酸」の効果とは...

フリーマガジン

「AGRI JOURNAL」

vol.30|¥0
2024/01/19発行

お詫びと訂正