効果倍増!? オリジナルシールラベルは生産者と消費者を繋ぐコミュニケーションツールだ
2021/06/09
貼るだけで簡単にメッセージを伝えられるシールラベル。オリジナルデザインならその効果も倍増する。農にまつわる“デザインの基本”について、農業×ブランディングを得意とする人気デザイナーに訊いた。
直径約4cmの小さな
コミュニケーションツール
ペタッと貼るだけで、普通の防曇袋がオリジナルパッケージに。オリジナルデザインシールは、商品の差別化に最適なお手軽ツールだ。
「直売所で、透明の袋に入れられた野菜が並んでいるのを見て、農家のみなさんが丸腰で戦っていることに驚いたんです。袋を印刷するとコストがかかりますし、もっと手軽にデザインで貢献できないかと考えて、ラベルシールのオリジナルデザインを始めました」。
気軽に利用してほしいと、敷居は低く設定。デザイン料金3万5千円+印刷費用(形状、紙質、部数による)で、世界に1つしかないラベルシールが完成する。デザイン料金がかかるのは初回だけで、リピート時の修正は無料。実際、リピートする生産者が多いそうだ。
「シールを貼るという一手間は増えますが、その分、値段を上げても売れるようになります。あとは、覚えてもらいやすい。お母さんが自分の子供に『あれを買ってきて』とおつかいを頼めるようなデザインを目指しています。生産者と消費者をつなげるコミュニケーションツールですね」。
▶ POINT
☑ コスト面でも無理なく継続でき、費用対効果が高い
☑ 生産者と消費者をつなげるコミュニケーションツール
CASE STUDY
● ほりぐち農園
メーカー生産品ではない、農家の手作りであることを伝えるために「田舎の景色感」を軸にデザイン。実際に園地を訪れ、イラストデザインに落とし込んだ。
● アタタカダイチ
環境に配慮し、宮古島の大地とともに生きる、という想いをロゴに。会社名である「アタタカダイチ」がキャッチーなため、名前を全面に押し出すデザインに。
● 株式会社丸徳農産
「マグロの肥料を使っていること」を最大の特徴としてイラストを大胆にレイアウト。生産者の独自のこだわり、目新しさをPRすることで、消費者の購買意欲がそそられる。
● 伊藤農園
赤土から採れる筍はおいしい。赤土で取れたことをきちんと主張するデザインに。覚えやすい竹林の景色をイラスト化し、リピートに繋げた。
● ひえのFarm
生産者の子供が描いたイラスト入れて欲しいという要望を受け、制作。子供のイラストを入れることで、生産者の人柄やぬくもりが伝わるデザインになった。
● ふぁ~む はんぜむどん
「お客様、家族、生命、すべての繋がりを大切にした農業を目指している」という生産者の依頼を受け、すべてのものがサイクルで回っていることをキービジュアル化。
● サムズアップ農園
お客さんから「うま!」というメッセージを貰ったというエピソードと、サムズアップという農園名を掛け合わせ、「自信あり!」と太鼓判を押したようなデザインに。
● 田代農園
ミネラル肥料にこだわった土づくりが特徴。キャッチコピーを「ミネラルいきいき」とし、「詳しくはわからないがなんだか良さそう」とイメージできるラベルに。
● North Farm
「家族を農業で食べさせてゆく」という決意をビジュアル化。消費者へは「心から大切に育てました」というキャッチコピーと家族のイラストで安心感を伝えた。
● 中谷農園
寡黙で一本気、農業のことだけを一途に考える生産者の人柄と思いを、『まっすぐ一筋』というコピーで表現。消費者にも、安心感やこだわりが伝わるビジュアルになった。
教えてくれた人
貼雑デザイン事務所
代表
角田誠さん
和歌山県にある「貼雑デザイン事務所」代表。和歌山農林大学校 アグリビジネス学科外部講師。日用品パッケージを2000点以上制作した経験を活かし、2013年より農業専門のデザインをスタート。45都道府県の生産者から依頼を受けた実績を持つ。
文:曽田夕紀子(株式会社ミゲル)
AGRI JOURNAL vol.19(2021年春号)より転載