青果市況情報を無料アプリでチェック! 卸値価格の分析で販路開拓・売上向上へ
2024/07/12
最新の市況情報を手軽に確認できる「YAOYASAN」は、自身の青果物の価格を決める際に役立つアプリ。独自の販売ルートの開拓を目指す生産者にとっても、必見のアイテムとなっている。
こまめな市況チェックで
素早い方向転換が可能に
農林水産省のウェブサイトでは、「青果物市況速報」「青果物卸売市場調査(日別調査)」のデータが公表されている。独自の販路をもつ生産者にとって、これらのデータは、自社の青果物の販売価格を決める際の参考になる。しかし本データには、掲載されているデータの量が多く、知りたい情報を見つけにくいといったデメリットが。
こうした点に着目し、開発されたのがYAOYASANだ。YAOYASANでは、農林水産省の「青果物市況速報」「青果物卸売市場調査(日別調査)」のデータを農業連携データ基盤(WAGRI)のAPIを使って抽出。その上でデータを表やグラフを使って表示している。各種データが整然と、大きく表示されているため、スマートフォンでも難なく、各地の卸売市場における青果物の価格や動向が確認できる。
スマートフォンにYAOYASANをダウンロードしておけば、品目と市場は、それぞれ5つまで登録可能。作業の合間に最新の市況を確認できる。
YAOYASANの活用方法はさまざまだ。例えば、アプリで各種データを参照することで、現在の販売価格が適正かどうか判断しやすくなる。また、各卸売市場における青果物の値動きを参考にした上で、高値での売買が成立しそうな販売先に早い段階でアプローチをかけることも可能になる。
価格が変動しやすい時期も
頼りになるアプリ
今回、YAOYASANの使用感を語ってくれたのは、宮城県・山元町に本社を置き、イチゴの生産と販売を行う「株式会社一苺一笑(いちごいちえ)」。
一苺一笑 代表取締役 佐藤拓実さん(右)と、セールスマネージャー 太田圭さん(左)。一苺一笑は、2012 年に宮城県・山元町を拠点に設立された農業法人。現在、山元町や仙台市などに自社農場があり、栽培面積は全部で112a。本圃ハウスへの統合型環境制御システムの導入などをとおし、収量や品質、作業効率の向上を実現している。
一苺一笑を含む、イチゴ農家にとっての〝勝負〟の時期は、クリスマスシーズンだ。クリスマスケーキに必要不可欠といっても過言ではないイチゴは、クリスマスシーズンを迎えると、リゾートホテルやケーキ店などからの需要の高まりを受け、各卸売市場にて高値で取り引きされる。しかし、一部の卸売市場にイチゴが集中した場合、市場での価格が予想に反して大きく下がる可能性も。
一苺一笑は、「いちいちご」というブランド名で直売所やスーパーマーケット、ECサイトなどで自社のイチゴを販売。
一苺一笑にて販売業務に中心的に携わっている太田圭さんは、「クリスマスシーズンの始まりにあたる11月末から、イチゴの市場価格が動きやすくなります。僕らはもちろん周辺のイチゴ農家も、イチゴの市場価格に敏感になり、価格に関する情報の収集に努めます」と、話す。一苺一笑では、クリスマスシーズン特有の価格の変動によって、売上が左右されるのを避けるため、11月末にはイチゴの価格を決定。その上で、全体の半分程度のイチゴを固定の売り先に販売するという。
直売所や道の駅で高い人気を得ている宮城県オリジナル品種「もういっこ」をはじめ、約5品種を生産。
一方で残る半分のイチゴは、市場価格に応じた価格で複数の販売先に卸している。一苺一笑の代表である佐藤拓実さんは、「イチゴの価格が変動しやすい時期にイチゴの価格を決める際、YAOYASANはかなり役に立つと思います」と語る。
「スマホでいつでも中央市場での卸売価格動向や市況速報が確認できますし、画面上には必要最低限の情報のみ、わかりやすく表示されています。アプリを開いてすぐに知りたい数値を把握できるので、日々、参考にするには最適なツールだと思います」。
太田さんも「ネット上で公開されている市況速報を見たり、卸売市場の関係者に問い合わせることで市況を確認できますが、即、市況を知りたい時はYAOYASANが重宝しますね」と、その利便性について語る。
バレンタインデーやひな祭り、彼岸などのシーズンも、イチゴの需要が高まり市場での価格が上がりやすい。YAOYASANで公開されているデータをこまめに参照することで、例年よりも高値での販売が狙えるはずだ。
手軽に卸売価格を把握・分析する!
青果市況情報アプリ「YAOYASAN」
YAOYASANでできること
1 複数の市場での市況を閲覧可能!
YAOYASANでは、国内30ヶ所の主要な卸売市場における「青果物市況速報」のデータを閲覧できる。閲覧するまでのステップは、とてもシンプルだ。アプリのトップ画面にある「市況速報」ボタンを押すと、卸売市場の一覧と、青果物の品目の一覧が表示される。データの閲覧を希望する卸売市場と品目を選ぶと、選択した卸売市場における該当品目の高値、中値、安値、数量などの速報値が表示される。また、品目と市場は、それぞれ5つまで登録可能。
2 価格・数量の変動がひと目でわかる!
本アプリにて「青果物卸売市場調査(日別調査)」のデータも閲覧可能。まずは、アプリのトップ画面にある「卸売価格動向」ボタンを押し、表示された国内14ヶ所の主要な都市と青果物の品目名の一覧より、データの閲覧を希望する都市と品目を選択する。なお品目と都市は、それぞれ5 つまで登録可能だ。各品目のタブを押すと、登録した各都市における、過去10 日間の卸売価格と入荷量がグラフで表示される。シンプルなグラフとなっているため、卸売価格と入荷量の変動状況を視覚的に理解できる。
問い合わせ
写真/松尾夏樹
文/緒方よしこ
AGRI JOURNAL vol.32(2024年夏号)より転載
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