イネの「いもち病」を防ぐ! 遺伝子を使った新たな防除法とは
2018/01/10
水稲の育苗期のカビには、多くの農家が頭を抱えている。農研機構は「いもち病」を引き起こすカビから、イネへの感染の鍵となる「いもち病菌」の遺伝子を新たに発見した。その年の農業トピックが分かる、農水省の「2017年農業技術10大ニュース」のひとつとしても選定された、新発見とは?
いもち病菌感染の要となる遺伝子
新しい防除法の開発に期待される
イネの重要病害「いもち病」。海外では小麦での被害も急速に広まっているという。
イネには感染しようとする病原菌を察知して、自己防御システムを活性化するメカニズムがあるが、いままでそのメカニズムはよくわかっていなかった。
農研機構は、従来とは異なる「いもち病」防除法を開発するために「いもち病原菌」の感染メカニズムを解析。岩手生物工学研究センターゲノム育種研究部、東京大学生物生産工学研究センターと共同で、イネの自己防御反応の抑制に必要な、「いもち病菌」の遺伝子「RBF1」を発見した。
「いもち病菌」は、イネの細胞に侵入する際、「RBF1」が作るタンパク質を分泌することで、特殊な構造体を作り、イネの防御反応を抑制することがわかった。この成果は2017年10月7日に「科学雑誌PLOS Pathogens」(※こちら)で発表されている。
この「RBF1」遺伝子の発見は、「いもち病」防除法を開発するための重要な手がかりとなるという。将来、農家の病害対策の悩みを解消してくれるかもしれない。今後の取り組みに期待したい。
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農研機構 本部 連携広報部広報課
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