政策・マーケット

食の未来を問う!農水省若手有志がオープンラボ開催

3DプリンターやAIなど、先進技術が次々と登場する昨今。様々な業界で革新がもたらされており、農業も例外ではない。そんななか、農林水産省の有志により、未来の「食」と農業をテーマとしたオープンラボが開催された。

「食」の技術革新は、
世界のホットトピック

4月14日(土)、都内某所にて、「OpenLab with MAFF―この国の食と農と私たちの仕事の未来地図を考える会― #1」が開催された。主催者は、農林水産省の若手職員による有志勉強会「Team 414」。本会では、「Team 414」のメンバーによる研究成果発表が行われるとともに、「食」の分野において、先進的な技術開発に取り組む3名のイノベーターによる発表がなされた。

イベント冒頭、「Team 414」のメンバーの一人である福田氏により、「食」と農業における世界の動向が発表された。

福田氏いわく、「食」の分野での技術革新は、“世界でのホットトピック”。実際、今年1月に開催された「世界経済フォーラム 2018(WEF)」では、技術革新が「食」の分野に、今後どのような影響を与えるかが議題として取り上げられた。しかし、日本は、食料自給率の低下や農家の高齢化といった問題の対処に注力するばかりで、「食」や農業の未来像については把握できていないのが現状だという。こうした状況に危機感を抱いたことが、本オープンラボを開催するきっかけの一つになったと話す。

「世界で開発が進んでいる様々なテクノロジーにより、未来がどう変わるのか、という議論を農林水産省でも始めたい。未来から逆算し、今、何をすべきなのかを明確にしたいと考えています」(福田氏)。

革新的な技術の研究・開発に
携わる有識者が登壇

登壇したイノベーターは、クリーンミート(純肉)の研究開発を行う「インテグリカルチャー株式会社」の代表・羽生雄毅氏、産業技術・自然科学分野にて応用科学研究に取り組む「オランダ応用科学研究機構」の研究員・西出香氏、植物工場事業を営む「株式会社ファームシップ」の代表・安田瑞希氏。

「インテグリカルチャー株式会社」が研究・開発するクリーンミートとは、筋肉細胞を培養液で増やすことによって作られた、「培養肉」のこと。この手法は、一般的に「細胞農業」と呼ばれており、「細胞農業」を用いることで肉だけではなく、毛皮や牛乳、魚肉なども作ることができるという。

「肉の消費量が増加し、家畜の餌となる小麦の値段が上昇するなか、クリーンミートが注目を集めています。また、『細胞農業』が普及すれば、農家自らが牛肉を培養し、自社のブランド牛を作れるようになるはずです」(安田氏)。

続いて登壇した「オランダ応用科学研究機構」の西出氏が取り組むのは、インクの代わりに食材を使い、食物を形成する「3Dフードプリンター」の開発だ。すでにイタリアの食品会社と共同開発を行い、パスタ専用の「3Dフードプリンター」を完成させている。自身に足りない栄養素を投入したり、食品を好みの味に変えたりできることも、本品の特徴。人々が健康的なライフスタイルを送る一助となるという。

3人目の「株式会社ファームシップ」の安田氏が経営する植物工場は、土地生産性が高いことが特徴。その生産性は、露地農業の60〜70倍にもなるという。また、野菜の安全性を確保できるほか、安定供給や安定価格も叶えうると話す。さらには、農家の人手不足問題を解決するきっかけにも。

「『植物工場』は、古い技術をベースにした新しいテクノロジー。『植物工場』に惹かれ、農家に参入する若者も多くいます」(安田氏)。

「食の未来」に向け
具体的なアクションを

イノベーターによる発表を受け、「Team 414」の北口氏は「長い歴史のなかで、食品はさまざまな技術革新にさらされてきた。今後も、技術革新により『食』のあり方は大きく変わるはず」と解説。また、消費者の価値観と願望を起点としたビジネスやさまざまなプレイヤーが活躍できるプラットフォームが重要としたうえで、今ある技術やトレンドを分析したいと話した。

本オープンラボは、「食の未来」を創る政策の考案を目的としたもの。世界に誇れる食文化や豊かさを実感できる社会の実現に向け、今後も継続していくという。


農林水産省資料:この国の食と私たちの仕事の未来地図(PDF)


Photo&Text:Yoshiko Ogata

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