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【知って得する】年間最大150万円!? 使わなきゃ損の「農業次世代人材投資資金」とは?

新規就農者にとって重要な「農業次世代人材投資資金」をご存知だろうか? メリットが大きい反面、一度使うと農業以外のキャリアを検討しにくくなるというデメリットもある。慎重に検討するために、必要な知識を身につけよう。

農業次世代人材投資資金って
どんな補助金?

「農業次世代人材投資資金(旧:青年就農給付金)」――新規就農を検討している人なら一度は聞いたことがあるかもしれない。一体、どんな制度なのだろうか?

農業次世代人材投資資金は大きく「準備型」「経営開始型」の2つに分かれている。

まず、「準備型」とは、都道府県が認める農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者が、最長2年間、年間最大150万円を受け取れる補助金だ。

そして、「経営開始型」とは、新規就農者が農業を始めてから経営が安定するまで最長5年間、年間最大150万円を受け取れる補助金だ。

例として、サラリーマンが新規就農するケースで考えてみよう。

一般的に、脱サラしてすぐに個人農家として独立・新規就農する人は少なく、研修機関や農事法人などで研修を積んでから独立、というステップを踏むことが多い。

この研修段階を補助してくれるのが「準備型」であり、独立・新規就農後を補助してくれるのが「経営開始型」だ。

「準備型」と「経営開始型」はどちらか一方だけを使うこともできるし、両方使うこともできる。


農業次世代人材投資資金の
メリットは?

「準備型」のメリットは、実家が農家で、親元で研修を受ける場合も利用することができるため、生活コストを抑えながら研修に集中できる点だ。

ただし、資金交付要件として「都道府県が認めた研修期間等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること」「常勤の雇用契約を締結していないこと」の2つがある。

所属する研修先の組織次第だが、この2つの要件にかからない形であれば、交付期間であっても他の仕事ができる可能性がある。月平均労働時間を200時間とすると、1,200時間の研修期間は6ヶ月程度のため、上手に年間計画を策定すれば、独立・新規就農時の貯金をすることも可能だ。

「経営開始型」のメリットは、毎年150万円(最長5年間)の収入があるため、新規就農時の不安を和らげてくれる点だ。人・農地プランへの位置付け等、条件がいくつもあるが、本気で就農を検討している人にとっては決して大きなハードルではない。



農業次世代人材投資資金の
デメリットは?

一方で、デメリットや注意点もいくつかある。

「準備型」で気をつけなければならないのは、研修終了後1年以内に独立・新規就農、あるいは農事法人等に雇用されなかった場合、返還が発生するということ。基本的には、心変わりが許されないのだ。これは農業以外のキャリアも考えている人にとっては最大のデメリットと言えるだろう。

また、「経営開始型」の場合は、年間所得が350万円以上になった場合に交付停止となる。前年の所得に応じて交付金額が変動する点にも注意しよう。一生懸命年収を上げれば上げるほど、安定的な収入である150万円の補助金は得られなくなるか、減額されてしまう。これは制度として課題があるように思われる。

また、交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続しなかった場合は返還となる。例えば、居住して農業を営んでいる地域で何かトラブルを抱えてしまっても、同期間以上は当地で営農し続けなければならないリスクがあるのだ。


メリット・デメリットを踏まえて
制度を上手く活用するには?

農業次世代人材投資資金の制度や種類は理解できたものの、デメリットやリスクに不安を覚えた方もいるかもしれない。しかし、一度立ち止まって考えてみて欲しい。

例えば、「準備型」で補助金を受給しても農業に関わる仕事をしなかった場合、150万円の返還義務が残る。これは当然デメリットとも取れるが、興味のあった農業を1年間じっくり学べたと考えれば、もし農業以外のキャリアに進んだとしても悔いは残らないのではないだろうか。大学生が利用する貸与型の奨学金と比較すれば、特段高いものでも無いように思う。

不利な面ばかり気にせず、活用できる補助金はとことん使う、という前向きな視点も必要だ。

最後にもう一つ。脱サラなどから新規就農を目指す場合、作りたい品種を考える方も多いが、農業は土地に根付く産業のため、”どこで就農したいと考えているか”が最も重要になる。

自分が農業をはじめたい場所を決めた上で、各市町村や青年農業者等育成センター等に出向いて、担当者から直接情報を集めることをオススメしたい。

参照リスト

農林水産省HP 農業次世代人材投資資金
実施要綱

PROFILE

ウエノ リョウ

1989年生まれ。Webライター。横浜国立大学卒業後、政府系金融機関にて法人融資業務に従事。金融機関を退職後、現在は地方創生に関する仕事に従事する傍ら、金融・財務・農政関連を得意とするライターとして活動。



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