クボタと三菱マヒンドラ農機が業務提携に合意! 農業の現場は何がどう変わるの?
2021/03/31
2021年3月31日、クボタと三菱マヒンドラ農機が日本市場での業務提携に合意した。ここでは速報的に、その背景と合意内容について説明する。具体的な協業内容については今後協議を進めるとされているが、現時点で明らかにされていることを中心にまとめておこう。
クボタと三菱マヒンドラ農機
その歴史と規模は?
クボタの創業は1890年。連結売上高は18,532億円、連結従業員数は41,605名(ともに2020年12月31日)。農業機械のシェアは日本No.1であり、世界でも第3位に入る。
一方、三菱マヒンドラ農機の創業は1914年とこちらも老舗メーカーであるが、連結売上高は457億円、連結従業員数は1,700名(ともに2020年3月期)と、事業規模には明らなか差が存在する。
国内市場の業務提携
その背景と狙い
業務提携の狙いは経営資源の確保にある。ご存知の通り、日本農業は、農業従事者の高齢化と減少が同時進行しており、大規模な担い手層と一般兼業農家への2極化が進んでいる。
この状況に対応しようと農業機械に対する効率化・コスト低減ニーズが高まっており、メーカーは自動化やIoT活用といった技術開発を高度化させて対応してきた。これは少なからぬ負担であり、そのうえ残念ながら、今後も日本の農業機械市場は拡大が見込める状況にない。
そこで両社は、今後も持続的に農業生産者の多様なニーズに応えるため、経営資源の確保が重要であると判断。日本市場での業務提携に踏み切った。両社の経営資源を相互に活用した製品・サービスや各種ソリューションの効率的供給を行う。
クボタと三菱マヒンドラ農機の業務提携で
何が変わるのか?
クボタと三菱マヒンドラ農機が国内事業を業務提携することで、農業の現場がどう変わるのかが気になるところだが、現時点で明らかにされているのは2点。
1つは、相互OEM供給の拡充。現在の相互OEM供給の範囲を更に拡大して、トラクター、田植機、コンバインを中心に、作業機や関連機器も含めたラインアップの拡充を図る。
これにより開発費用の低減が見込めるだけでなく、お互いの商品をより多くの農業生産者に知って貰うことができるはずだ。
2つ目が、営農支援システム「KSAS」の利活用。クボタの営農支援システム「KSAS」に対応した製品の供給と併せて、三菱マヒンドラ農機における「KSAS」利用などについて検討を進める、と発表された。
クボタユーザーにおいては「KSAS」は普及しているが、将来は三菱マヒンドラ農機ユーザーも「KSAS」を利用できるようになる可能性が高い。
ということで、クボタと三菱マヒンドラ農機の日本市場での業務提携は、現在のところは、相互OEM供給範囲の拡大と、「KSAS」の利活用という2点が起こるようだ。続報があれば追記していく。
DATA
文:川島礼二郎