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売れる! 農業WEBマーケティング入門|SNS・ブログ・HPの活用術

世の中のヒット商品には、必ず売るための“戦略”がある。農業においても、「売る」ためには仕組みを知り、仕掛けを作ることが必要だ。ダイレクトマーケティングの成功を目指す人に向けて、農業マーケティングの基本をお伝えしよう。

売れる仕組みを
理解する


山下さん
売れる仕組みを作れば商品は確実に売れる



「農業で生き残る方法は2つ。安く大量に作るか、高く売るか。高く売る手法とは、ダイレクトマーケティング、つまりお客さんに直接売るということ。卸値ではなく、末端価格で売ることができ、安定した農業経営を目指せます」。

そう語るのは、農業コンサルタントの山下弘幸さん。農業者がダイレクトマーケティングを行う際、ありがちな勘違いがあるという。「おいしいから売れる。これは大きな間違いです。売れる仕組みを作ったところが売れていく。売れるもの=おいしいものという考えは、頭から外してください」。

では、売れる仕組みとは、どのような仕組みなのか。「まず、ものがどうやって売れていくのかを知りましょう。興味関心を持つことからスタートし、買おうかなと一度は迷った末、購入します。そして、よかったと思えたらもう1度買おう、となる。これが人間の購買行動のフローですが、実は売る側の仕掛けによって誘導されたもの。それぞれのフローに対する仕掛けがあるんです」。

具体的に、各フローに対する仕掛けと、やるべきことを整理してみよう。
① 興味関心を持ってもらうためには、宣伝告知を行う。
② さらに詳しい情報を欲しがっている人には、ダイレクト通知をする。
③ 買いたいと思っている人が実際に訪れることができるよう、店を構えることも必要だ。
④ そして、再購入に繋げるにはアフターフォローが重要になる。

これらの仕掛けづくりは、ひと昔前と今では大きく異なるという。

「かつては、宣伝告知のためにチラシやビラを使い、ダイレクト通知のために登録用紙を書いてもらいました。商品の受け渡しには直接来店してもらい、買っていただいた方には手紙を送っていた。これが30年前のマーケティングです。

それをWEB上で行うのが、WEBマーケティング。チラシやビラの代わりにSNSやブログで興味関心を募り、LINE公式アカウントやメルマガによってお客さんを絞り込む。そして、自社サイトで購入してもらい、購入者にはメールでお礼を送る。最終的には、お客さんが『あの野菜おいしかったよ』とSNSなどで発信してくれる。それがブランド力に繋がっていきます」。目的は「リピーターになってくれるファンを作ること」。具体的な方法について紹介していこう。


売れる仕掛けを
つくる

WEBマーケティングで、最初にするべきはペルソナの設定だ。「こういう人に買って欲しいという具体的なペルソナをイメージしましょう。それを踏まえた上で、『20〜30代の単身世帯に訴求するにはInstagramかな』など最適なSNSを検討していきます」。

SNSの役割は、より多くの人に興味・関心を持ってもらうこと。どんな発信が求められるのか。「SNSは売るツールではないので、宣伝や売り込みはNG。SNSは自分を知ってもらうためのものなので、伝えるべきは商品やサービスではなく、その人の人柄や世界観です。難しく考えずに、日常や野菜のこと、趣味の話など、その人のキャラクターが伝わる投稿をしていくといいでしょう」。


山下さん
SNS、ブログ、メルマガそれぞれを効果的に活用しよう


さらにSNSとブログを両輪で使いこなせればWEBマーケティングにはより効果的だという。「SNSには瞬発力がありますが、2〜3年前の記事を掘り起こすのは難しい。一方、ブログはアーカイブとして優秀。いくらでも掘り下げることができます。ブログでの蓄積は、自分の信用を積み重ねることと同義です。それと、検索キーワードにも引っかかりやすいので、メディアから取材依頼が来る可能性も高まります」。

SNSやブログを通して興味を持ち、さらに情報を知りたいという人には、メルマガやLINE公式アカウントの登録をしてもらう。「極論を言えばメルマガ登録をどれだけしてもらえるかが勝負」だそう。

「一般的なビジネスでも顧客リストを持っているところが勝ち。ここからは宣伝してOKです。相手は、通りすがりの人ではなく、すでに興味関心を持ち、自分のテリトリーに入っている人たちだからです」。そして、次の段階でいよいよネットでの購入に至る。

「ECサイトなどで販売するのも手ですが、どうしても価格競争になってしまいがち。その点、自社サイトなら価格も売り方も自由です。自社サイトには、HPとランディングページがありますが、売るためにはランディングページが重要。ペルソナを意識しながら、物語をつくりましょう。今は専門店が重用される時代。『○○の専門家』という設定でサイトをつくるのもオススメです」。



● 自社ホームページ(ランディングページ)作成のコツ

ランディングページとは商品紹介に特化したWEBページのこと。期待感が高まる内容を順に掲載していき、商品説明や価格は最後に紹介するのがセオリー。ランディングページは販売のため、HPは信頼を裏付けする役割を持つ。



さらに、アフターフォローとしてお礼メールも忘れずに。それぞれのフローを強化して、ファン=リピーターを獲得していこう。

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教えてくれた人

株式会社農テラス
代表/農業参入コンサルタント

山下弘幸さん

1969年熊本生まれ。赤字の農業経営を短期間で黒字化させた自営業時代と、ベンチャー企業での農業法人社長時代の経験を基に、農業参入専門のコンサル会社「農テラス」を2012年に設立。農業ビジネス支援企業100社以上。著書に「稼げる、新農業ビジネスの始め方」(すばる舎)など。YouTube「農テラスチャンネル」にて農業経営に役立つ情報を毎日配信中。


文:曽田夕紀子(株式会社ミゲル)

AGRI JOURNAL vol.19(2021年春号)より転載

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