【J AGRIレポート】農家を支援するプロジェクトやシステムが目白押し!
2024/06/28
2024年5月22日(水)〜24日(金)、J AGRI(旧農業WEEK)がグランメッセ熊本で開催された。今回は、270社の出店の中から編集部が注目した3つの農業支援事業者をご紹介しよう。
1.J AGRIの見所は機械や技術だけじゃない!
2.ソーラーシェアリングを活用して就農から販路開拓までサポート
3.土の健康診断?肥料の処方箋!?
4.ビジネスカードでバックオフィスのDX化へ
J AGRIの見所は
機械や技術だけじゃない!
5月、九州で二回目となるJ AGRI(旧農業WEEK)が開催された。グランメッセ熊本で開催された展示会では、その中の農業資材、スマート農業製品、畜産資材の3つの構成で270社が立ち並んだ。
大型の農業機械や最先端のIoT機器が立ち並ぶなか、機械や技術だけではなく他の側面から農業界を牽引するプロジェクトやシステムが目をひいた。
すでにJ AGRI 九州の来年の開催も2025年5月28日(水)~30日(金)グランメッセ熊本決定しており、出展のブースも多く埋まっていたことから注目度の高さが伺える。
ソーラーシェアリングを活用して
就農から販路開拓までサポート
J AGRIでは、農業資材や機器だけではなく様々な分野から農業を支援する取り組みをしている企業のブースが多数あった。そんななか今回紹介するのは、ERS球磨ファームの太陽光発電と農業で球磨地方の地域活性化を図るという取り組みだ。
令和2年7月豪雨により大きな被害にあった球磨地方。河川の氾濫や土砂崩れなどで、離農せざるを得なくなった人や、仕事がなくなり球磨を離れる人が多かったという。ERS球磨ファームは、今後も天災や異常気象などで、同じようなことが全国各地で起こりうるということを危惧し、この取り組みを始めたと話す。
具体的な取り組み内容としては、パートナーとなる就農者を探すことから始まる。その後、耕作放棄地などの担い手に苦慮している土地を探し、その土地にあった農作物を決め、ソーラーパネルを用いて、農作物に適した遮光率や環境を作り、育てるシステム。
就農のネックとなる収入面では、農業の専門家が栽培から販路開拓まで支援することに加え、天候不順や自然災害による減収リスクも太陽光発電の収入が下支えするという。これが実現したら、全国どこでも実現できる、農業再興・里山再生のモデルとなるだろう。
問い合わせ
株式会社ERSホールディングス
ERS球磨ファーム
土の健康診断?
肥料の処方箋!?
農業において大事になる土づくり。そしてその土を知るために必要不可欠なのが土壌分析だ。生科研は、健康な土づくりと作物づくりを支える土壌分析サービス、関連肥料の製造・販売を行う会社である。
1960年代より、創業者の中嶋常允(なかしまとどむ)氏が植物栄養における土壌ミネラルの重要性に関する研究とともに、土壌分析診断(土づくりと適正肥料の提案)を開始したのが創業のきっかけとなっている。健康な土から、健康な作物が育ち、その実現が人々の健康と生命につながるという考えのもと、土壌のミネラルバランスに着目した「中嶋農法」を確立。土壌分析診断を基本とした施肥設計と肥料提案、作物の生育期間中に至るまで一貫した現地サポートを行っている。
また生科研は、地域に根付き現場密着で生産者の課題解決に臨むため、代理店制度による提案活動を全国展開している。同じ悩みがある生産者でも、栽培方針や予算が違えば提案する内容も変わってくるため、生産者のニーズを第一に納得いただける提案を心がけているという。
土のお医者さんとして土壌分析=「土の健康診断」を行い、それぞれの土壌の健康状態に合った肥料の処方箋を出す。まさに『土の病院』のような存在だ。
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ビジネスカードで
バックオフィスのDX化へ
DX支援や人材事業などを展開するベルシルテム24と情報通信システムの開発や設計などを行うNTTテクノクロスが、肥育農家向けに牛の起立困難予防装置「BUJIDAS(ブジダス)」というAIサービスの提供を始めた。また、ここで注目なのが「BUJIDAS(ブジダス)」の導入費用・月額費用の決済を、アメリカン・エキスプレスのビジネスカードのみで対応している点だ。
支払いをビジネスカードに集約し決済をデータ化することで、支払い義務や支出管理を簡素化することができる。さらに経理や財務などにかける労力も効率化が見込める。さらに、アメリカン・エキスプレスのビジネスカードは農機や資材の購入にも利用でき、そこで貯まったポイントを支払いにあてることもできるというメリットもある。
「BUJIDAS(ブジダス)」の導入で作業のDX化を、アメリカン・エキスプレスのビジネスカードの活用でバックオフィスのDX化をそれぞれ進めることで、より効果的に負担軽減を図っていくことができるだろう。今後は、管理や作業のDX化だけでなく、カード活用による購買戦略によって経営面やバックオフィスを改善していくことも農業の負担軽減になる。
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取材・文/Lato