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【動き出したスマート農業技術活用促進法】生産方式革新実施計画を11件認定

農林水産省は、スマート農業技術活用促進法を昨年10月に施行し、事業者からの申請を受け付けていた。生産方式革新実施計画は、3月21日までに11の事業計画が認定され、生産性の向上が期待されている。

<目次>
1.生産方式と開発供給の2つの認定制度を創設
2.中山間地でも作業効率の高い米づくり
3.収穫の予測データを出荷先の事業者と共有
4.ドローンセンシングのデータを周辺の農家と共有・分析

 

生産方式と開発供給の
2つの認定制度を創設

スマート農業技術活用促進法が目指すイメージ(出典 農林水産省)

農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術活用促進法)は、農業者の減少などの農業を取り巻く環境の変化に対応して、農業の生産性の向上を図ることを目的としたものだ。

農水省は、「スマート農業技術の活用及びこれと併せて行う農産物の新たな生産の方式の導入に関する計画(生産方式革新実施計画)」と「スマート農業技術等の開発及びその成果の普及に関する計画(開発供給実施計画)」の2つの認定制度を設けている。

このうち「生産方式革新実施計画」は、スマート農業技術の活用と農産物の新たな生産方式の導入を相当規模で同時に行い、農業の生産性を向上させる事業だ。
開発供給実施計画」は、スマート農業技術の開発や、スマート農業技術を活⽤した農業機械、またはスマート農業技術活⽤サービスの供給を⼀体的に⾏う事業である。

それぞれの計画で認定を受けた事業者は、⽇本政策⾦融公庫の⻑期低利融資や税制の優遇措置、⾏政⼿続の簡素化などのメリットがある。農水省は昨年10月から申請を受け付け、「生産方式革新実施計画」については、3月21日までに11の事業計画が認定された。

中山間地でも
作業効率の高い米づくり

株式会社ファームヤマザキの生産方式革新実施計画(出典 農林水産省)

株式会社ファームヤマザキ(宮崎県えびの市)は、山あいの地域で大規模な米づくりに取り組んでいる。自動操舵トラクターやロボット田植機を導入するとともに、ドローンを農薬散布などに活用して、作業の省力化を進める考えだ。

また、畦畔を除去して農地を集約し、中山間地でも作業効率の高い米づくりの実現を目指している。

収穫の予測データを
出荷先の事業者と共有

しかりべつ高原野菜出荷組合加工キャベツ部会の生産方式革新実施計画(出典 農林水産省)

北海道鹿追町のしかりべつ高原野菜出荷組合加工キャベツ部会は、加工・業務用キャベツを栽培している。適期収穫による品質・収量の向上や次期作の肥培管理の最適化を図るため、精密出荷予測システムを導入する計画だ。

収獲時期や収穫量の予測データをサービス事業者や食品加工の事業者と共有して、作業人員や予冷庫への入荷量の平準化を進めて収益性の向上を目指す

ドローンセンシングのデータを
周辺の農家と共有・分析

株式会社つじ農園の生産方式革新実施計画(出典 農林水産省)

株式会社つじ農園(三重県津市)は、水稲と小麦を栽培している。ドローンに搭載したセンサーで空撮した画像を解析し、作物の生育状況や収量を把握する「ドローンセンシング」を導入して、ほ場ごとの適期追肥・防除の実現を目指す。

ドローンセンシングによる生育診断データを他の生産者とも共有・分析して、地域全体の収益性向上につなげる考えだ。

「開発供給実施計画」については、これまでに8の事業者の計画が認定されている。計画の申請については、「生産方式革新実施計画」はお近くの地方農政局まで「開発供給計画」は農林水産技術会議事務局研究推進課までお問い合わせくださいと農水省では話している。

DATA

スマート農業技術活用促進法について


取材・文:高橋健一

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