鈴木農相 6月16日記者会見「農林水産物の海外展開、2030年の5兆円目標の達成に向け輸出先の多角化に注力したい」
2026.06.16
鈴木農林水産大臣は6月16日の記者会見で、農林水産物・食品の輸出拡大について、「茶のように市場が広がっているものの供給が追いついていない産品もある。2030年の5兆円目標の達成を目指してムスリム市場の開拓など輸出先の多角化に注力していきたい」と述べた。
メイン画像:記者会見する鈴木農相(出典 農林水産省)
鈴木農水大臣
記者会見概要
大臣 本日、閣議前に開催をしました農林水産物・食品の輸出関係閣僚会議についてです。今回の会議では、輸出拡大のペースアップを図るための施策の方向性について議論をし、現地系商流に食い込むための海外支援体制の強化、そして輸出産地の育成による供給力の強化、輸出の伸びが著しい新市場などへの売り込みなど、輸出先の多角化について説明をさせていただきました。
また、直近の成果といたしまして、農林水産省と厚生労働省が連携をして米国と協議をし、米国向けの牛肉輸出認定施設において、これまで認められてこなかった、寝かせ放血、寝かせて血を抜くということ、と畜場で、これが解禁をされました。これによって、その方式でありますと、ハラール対応も可能となりますことから、そういったことについて報告をさせていただきました。
最後に、木原官房長官から、本日議論した方向性を新しい成長戦略などに盛り込むとともに、来年度予算概算要求に反映するよう指示がありました。官房長官からの御指示を踏まえて、引き続き、農林水産省が先頭に立ち、関係省庁との協力を得ながら、農林水産物・食品の輸出促進の取組を更に進めてまいります。
続いては、鶏卵の安定的な生産・流通対策パッケージについてです。先週の、衆議院の農林水産委員会でも答弁をさせていただきましたが、鶏卵については、近年、高病原性鳥インフルエンザが毎年発生するなどによりまして、価格が高水準で推移をしております。これを踏まえて、たとえ鳥インフルエンザが頻発をしたとしても、鶏卵の安定供給を確保することが重要であるため、総合的な対策をパッケージとして取りまとめました。
内容といたしましては、まず従来から行っていただいている飼養衛生管理の徹底により、より一層の徹底の推進を前提に、お手元に配布をしておりますとおり、まずは大規模農場などにおける分割管理の集中的な推進、そして2点目として、スマート畜産技術による飼養衛生管理・疾病予防対策の高度化、そして3点目として、外食・加工用向けの液卵流通の推進、これを柱としております。このうち、特にスマート畜産技術につきましては、AIなどの更なる活用を進めることにより、衛生対策の強化のみならず、畜産農家の負担感の軽減や、生産性の向上が期待をされるというふうに考えております。
このため、官民連携をいたしまして、スマート畜産のイノベーションを進め、開発技術の普及を図るため、新たに検討会を立ち上げることとしております。検討会には、私も参加をさせていただきます。詳細は、後ほど、プレスリリースさせていただきます。
―冒頭発言でいただいた関係閣僚会議の関連で伺います。農産品、食品の輸出は、目標とまだ大きな差があるかと思いますが、今回の閣僚会議を含め、農水省として輸出の施策をどう強化していくか改めて伺わせてください。
大臣 本年1月に、輸出の関係閣僚会議、開催をされておりまして、木原長官から、5兆円目標に向けてペースアップをしっかり図るようにという指示がありました。また、高市総理からも、関係閣僚に対して、海外に出張する際には、農林水産物・食品の輸出促進に貢献するよう御指示がこれまでもあったところであります。まず、こうした今の取組状況について関係閣僚間で共有するとともに、今後の施策の方向性を議論させていただきました。
輸出拡大の抜本的なペースアップのためには、何よりも現地系の商流の開拓がまず不可欠になります。これはトップセールスをきっかけにして、今後、現地での体制を強化をして取り組んでまいります。そのために、輸出支援プラットフォームへの専門人材の配置など、海外支援体制の強化が必要になります。
そしてもう一つは、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)、これ今、生産者の皆さんと、輸出商社もしくは海外の取引先を結びつける機能がありますけれども、GFPの機能強化による輸出に取り組む事業者の増加や、輸出産地・事業者の規模拡大による大ロットかつ安定的な供給力の強化、こうした取組を強力に進めてまいります。
そして3点目は、ハラール対応食品の供給強化によるムスリム市場開拓など輸出先国の多角化を強化する必要があります。現状で、例えば、緑茶、お茶のようにマーケットがすごい広がってきていて、そこに対して、供給が、今は現実として追い付いていないという産品もありますし、まだまだ目標に達していない産品もたくさんあります。それぞれごとに、状況が違いますので、きめ細かく対応させていただきたいと思います。
―もう1点、食料品の消費減税の関連でお伺いさせてください。社会保障国民会議で検討されている消費減税について、農業分野で免税事業者や簡易課税事業者が多い農業分野では、懸念が広がっています。こうした事業者の仕入れ税額分の負担が、合計で数千億円になるという民間試算もありますが、こうした農業者への影響について、大臣どのように受け止められていますでしょうか、お聞かせください。
大臣 農林漁業者の多くは、免税事業者や簡易課税事業者となり得る、売上高が5,000万円以下の経営体です。その数も80万を超えているというふうに承知をしております。
食料品の消費税の減税については、特に資材購入時などに負担した消費税について、こうした皆様が円滑に還付を受けることができるのかといった課題があるというふうに承知をしております。
現状で、食料品の消費税減税の実施に向けて、検討すべき諸課題につきましては、社会保障国民会議において議論を行い、結論を得ることとしておりますが、農林水産省としては、この国民会議の議論、しっかりと見守りつつ、農林漁業者の懸念や課題を受け止めた上で、適切に対応させていただきます。
―農作業事故についてお伺いします。JA共済連が11日に発表した農作業事故発生件数は、前回調査より3割増加していました。国の調査でも死亡事故の増加が目立っていますが、事故を減らすために、国として新たな対策に乗り出す考えはあるか、お願いします。
大臣 全国共済農業協同組合連合会が4年に1度調査をしている農作業事故件数の推計値が、今月11日に公表され、前回は年間7万件程度であったのが、今回、年間9万件程度に増加をしたということを承知をしております。
農林水産省が例年実施しております、農作業の死亡事故調査におきましても、令和6年の死亡者数が287人と、前年と比べ51人増加をしてきております。特に問題だと思っておりますのは、5月から9月の死亡者数が前年と比べ52人増加、そのうち21人が熱中症とされておりまして、熱中症を含めた夏季の安全対策が急務というふうに認識をしております。このため、これまでもドローンによる防除やサービス事業者の活用など、夏季、夏の作業の省力化・軽労働化をする体系への転換を、補助事業も活用しつつ進めております。
―アメリカとイランが戦闘終結に合意しまして、19日にも覚書を交わすとの報道もあります。食品容器や、その他の高騰などがありましたけれども、そういったものが、今後、この合意によって、供給と価格についてはどのように情勢が変わっていくとお考えでしょうか。
大臣 資材などの価格や、供給への影響につきましては、引き続き、状況を注視し、今後の影響を見極めていくことが必要というふうに考えております。いずれにしても、農林水産業、食品産業に従事される皆様が安心して経営を継続いただけるように、資材の安定供給の確保など、引き続き、全力で取り組んでまいります。
DATA
取材・文:アグリジャーナル編集部
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