武部農相 10月20日記者会見「政府米の備蓄回復は国産米で、無関税の輸入米活用を否定」
2026.10.20
武部農林水産大臣は10月20日の記者会見で、政府の備蓄米放出後の在庫水準の回復について、「国産米により計画的に進めてまいりたい」と述べた。財政制度等審議会の分科会が提起した無関税輸入米を暫定的に活用する案に否定的な考えを示した。
メイン画像:記者会見する武部 農林水産大臣(出典 農林水産省)
武部農水大臣
記者会見概要
―本日、審議入りする消費税減税法案についてお伺いします。先日の参議院予算委員会で、外食業界の支援策として、プレミアム商品券や「Go To Eat」なども選択肢として検討していらっしゃるという答弁がありましたが、検討状況を具体的に教えてください。あと、これらの支援策に対する効果をどのように考えているかお聞かせください。
大臣 外食事業者に対する支援につきましては、外食にも様々な業態があります。生じる影響もそれぞれに異なると考えられますので、事業者の実情を確認しつつ、実際に影響を受ける方々に向けた的確な支援を講じることとしております。その内容につきましては、予算編成過程において、具体化することとしておりますが、検討に当たりましては、プレミアム商品券や「Go To Eat」も含めて、過去に実施した取組についての蓄積も活かしながら、そうした取組の成果や課題もありましたので、そういったことを留意しながら、「有効な対策の在り方」について、検討を深めてまいりたいと思います。
―飲食料品の消費減税に伴い、影響を受ける農家の負担軽減策として、政府が売上高の5パーセント程度を給付して、27年度当初予算額で2,000億円程度とする政府案の報道がありますが、大臣の受け止めについて、お願いいたします。
大臣 御指摘の報道については承知しておりますけれども、「給付の水準」や「総額」等については、政府として決定した事実はありません。農林水産省としては、先般、閣議決定されました「大綱」に基づいて、農林漁業者等への支援を行うこととしております。今後の予算編成過程において、支援内容について、具体化をしてまいりたいと思います。
―先日あった、財政制度等審議会の分科会で提案された農地の関連で伺います。16日の財政審の分科会で、耕作放棄地ではなくて「耕作困難地」という概念を導入して、集約化すべき農地、再生・活用すべき農地、林地化など農地でなく非農地化すべき農地に区分して、耕作や経営の困難性に応じた対策を講じるべきという指摘がありました。こうした指摘の受け止めと、今後、こういった概念を導入され、検討される可能性があるか、併せて教えてください。
大臣 財政審の財政(制度等)分科会におきまして、今、お話あったように、財務省から、御指摘のような問題提起がなされたことは承知しております。今回、問題提起された「荒廃農地」、いわゆる耕作放棄地については、農林水産省において、これまでも、食料安全保障の観点から、多面的機能の発揮のため、或いは食料安全保障の確保のため、まず、その発生を防止することと、農地の有効活用の観点から、できるだけ早期の復旧・解消を進めてきたところです。
このため、例えば、「営農を続けて守るべき農地」や、「粗放的利用を行う農地」等を明確にして、地域の実情に応じた最適な農用地保全の取組が行われるように支援しております。引き続き、各地において、地域における話し合いを踏まえまして、各種施策を活用して、荒廃農地の発生防止・解消に取り組んでまいりたいと思います。
―先ほども質問のありました財政審の関連だったのですけれども、備蓄米の運用で、財政審では、今後、備蓄を放出した後の備蓄水準の回復に向けて、MA米を暫定的に活用する方法も提起されました。通常以上の買入れを行えば、需給や価格に影響を与えるおそれがあることなどが理由とされていますが、備蓄の運用は国産米を基本とするとされている中で、農水省として、こちらの提言の受け止めについてお聞かせください。また、今後、MA米を活用することを検討するお考えがあるかについてもお願いします。
大臣 財政審の財政制度等分科会において、今、お話のあった、問題提起がなされたとは承知をしておりますが、政府備蓄米は、不測の事態が生じた場合に、食料安全保障の観点から、消費者に対し、「国産米」を安定供給するために行うものであります。このため、食糧法第29条では、国内産米穀の買入れを行うと明記しているところです。農林水産省としては、政府備蓄米について、昨年の59万トン放出も踏まえて、食料安全保障の観点から、将来の供給不足に備えるため、適正水準100万トン程度に向けて、国産米により、備蓄水準の回復を計画的に進めてまいりたいと思います。
MA米の活用については、不測の事態が生じて、政府備蓄米、それと民間在庫の国産米を活用しても、なお供給が不足する場合、いわゆる食料供給困難事態対策法の基本方針に基づいて、政府が保有するミニマム・アクセス米を活用することとしております。それ以外は考えておりません。
―米価格については、消費者は安いほうがいい、一方で、農家はある程度高くないと収入が安定していかないというのが現状かと思います。そこで、両者を両立させるために、米の価格というのは、これまでどおり市場に任せたままでいいのか、そのほか、農家の直接補償、これは考えているのかどうか、見解をお聞かせください。
大臣 米の価格につきましては、需給バランス等、民間の取引関係の中で決まるものです。生産者でありますけれども、生産者が再生産・再投資可能で、かつ、消費者にも理解が得られるような価格水準に落ち着いていくことが重要であると考えています。こうした状況としていくために、「需要に応じた生産」の推進を図るとともに、食料システム法に基づくコスト指標を活用していただいて、費用を考慮した価格が形成されるように促していきたいと思います。
戸別補償、農業者の所得を補償する直接支払いについては、これ、税金が原資になりますので、国民の皆様の御理解が得られるかどうかということが必要になってきます。と同時に、制度設計する際に、生産性向上に向けた取組に影響を及ぼすのではないかとか、あるいはどういった生産者を対象にするのかとか、あるいは支援の水準をどのように設定するのかなど、慎重に検討する必要があると考えています。
DATA
取材・文:アグリジャーナル編集部
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