歴史ある徳島の藍染、有機農業で地域活性化を狙う
2017/05/09
徳島県は伝統産業として藍染が有名。染料の素となる藍を育て、染料を作り、染めていく一連の作業を自分で行いたいと修行の道に入った阿部さん。その後どのように有機農業と出会ったのか。就農して芽生えた想いを伺った。
テーマは、自然、伝統、ものづくり
次世代へ希望を繋ぐことを目指す
サラリーマン時代を経て、「自然に関わる仕事がしたい」と考えた阿部正臣さんが出会ったのが、草木染めだ。
地元の徳島県では、伝統産業として蒅(藍染の染料)づくり、藍染が有名。染料の素となる植物、藍を育て、染料を作り、染める。
その一連の作業を自分でやりたいと、修業を始めた。京都にある染色工房などで技術を磨いた後、地元徳島で独立。徳島市から車で1時間ほどの中山間地、上勝町で居を構えた。
「古民家と畑を借りることができて。藍づくりの傍ら、竹チップを農業資材に使いながら、ほうれん草を作りました。それが、野菜コンテストで食味と栄養価が評価され最優秀賞をいただいて。資材、水、寒暖差などがたまたま合わさった結果だったのですが、この地域で有機農業を行うことにも大きな可能性を感じました」。
味わいだけでなく、栄養価など健康に寄与する機能性に優れた有機野菜を作ることにこだわる。そのためには土作りが重要だ。
そこから有機農業の研修を経て、2014年に就農。
標高350〜500mの中山間地で行う農業は、日照時間や寒さなど厳しい側面もある。それでも試行錯誤しながら、一年を通して美味しい有機野菜を作る栽培技術を確立してきたという。
ほうれん草、カリフラワー、キャベツなど年間で約70種類ほどの野菜を栽培。徳島県外の顧客も多いという。
「上勝町では過疎高齢化の課題に直面しています。地域の担い手を増やすことを考えた時に、有機農業はとても有効な手段です。僕が実践することで担い手が増えて、地域活性にも繋がればうれしい」
藍染も継続して手掛けており、今年は蒅づくりをより本格化したいと意気込む。
阿部さんのテーマは、「自然、伝統、ものづくり」。その3つを軸にしながら、「地域を、徳島を、日本を元気にしたい」と、夢はまだまだ尽きることがない。
※『AGRI JOURNAL』vol.3より転載。