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トマト一筋18年、トマトのプロが選んだ6×6ハウスの実力

「モダンで洗練された農園」にとって、栽培機能の骨格を成すハウスは最も重要な舞台装置だ。そこに採用されたのは「間口6m×奥行き6m×軒高5m」という栽培の自由度を重視したプロ仕様のハウスだった。

とにかくたくさん穫る農業から
食べてくれる人のための農業へ

栃木県小山市に約3,000坪のハウス(1,000坪×3棟)を構える株式会社ジンボ・アグリアート・モダニズムでは、8月~翌7月の長期穫りで大玉トマトとミニトマトを栽培している。その経営者であり、最高生産管理責任者でもある神保謙太郎さんが就農したのは今から18年前。漠然とした思いで就農を志していた頃、研修先で出会ったトマトのハウス栽培は、それまで神保さんがイメージしていた農業とは全く異なるものだった。

高軒高のハウスで蔓をまっすぐ吊り上げて栽培する方法が出始めた時期で、神保さんはそこに魅力と可能性を感じた。「働くにしても、大規模に経営するにしても適していると直感しました」と、神保さんは振り返る。それまで施設キュウリ栽培を営んでいた両親を説得して、神保さんが習得したノウハウで両親と3人、トマト栽培をスタートさせた。


株式会社ジンボ・アグリアートモダニズム 代表取締役 神保 謙太郎さん

転機となったのは就農から10年経った頃のことだった。トマトの単価がどんどん下がっていて、それまでの協選協販(農協出荷)で「とにかくたくさん穫る」ための農業に限界を感じるようになっていた。

「長期穫りの作型が主流となって一年中どこに行ってもトマトがあるのに、このまま多収で突き進んでいても光が見えない。今30t穫れているところをがんばって40t、50tとしたところで、そこにどんな価値があるのか……」。

悩んだ末に「食べてくれる人のために何ができるか」という視点に立ち返ることにした。トマトのプロとして目覚めた瞬間だった。

新ブランド「ZINBO」を立ち上げ
モダンで洗練された農園をめざす

新たな販路を開拓し、全量売り切ることを目標にして営業活動を続けるなか、あるバイヤーの一言が神保さんの胸に突き刺さった。

“これではありきたりでダメだね”

協選協販の品種のまま売り込みに行っていたため「これなら市場にあるよ」ということだ。そこからは「特徴を打ち出すにはどうしたら良いか?」という自問自答の日々が始まった。

さまざまな品種を試した結果、食味が良いと評価されている品種に切り替えて自社ブランドとして販売。そして昨年、新たに自社オリジナルの品種を導入し、新ブランド「ZINBO」を立ち上げた。「モダンで洗練された農園」のイメージを全面に打ち出し、従来のブランドとは異なるアプローチをめざす。


12月からZINBOブランドとして出荷がスタートした。

内部筋交いの削除により
間口に対して平行方向にも
畝立て可能に

「見かけだけじゃなくて、ハウスの中まで格好いいブランドにしたい。ブランドは、そこで働く人にとっても魅力のあるもの、モチベーションにつながるものでなければならないと思います」と話す神保さんは昨年9月、新たに1,000坪のハウス(軒高5m)を新設した。ここで採用されたのがサンキンB&G社製の「SLC66(スーパーローコストハウス66)」だ。
商品名にある「66」とは間口6m×柱間(奥行き)6mピッチの仕様で、これはサンキンB&G社の特許商品である。

 


写真右はサンキンB&G株式会社の大山さん

「トマトの場合、間口8m×3mピッチがオーソドックスなパターン。それに対して最もコストがかかる基礎の数を減らしましょうというのが6×6の発想の原点です。6mは畝や栽培ベンチに最適な間口であるだけではなく、コストと強度のバランスが丁度いい」とサンキンB&G担当の大山さん。

SLC66のハウスでは6mに3畝で条間は2m。一般的な8mに5畝で条間1.6mのハウスに比べて通路幅が広く、作業性の面でも優位性は歴然としている。
「通路が広いと株数が確保できない懸念があるかもしれませんが、ここでは株間を詰めてカバーしています。株間を詰めても条間が広いので採光性についても問題ありません」。


広い通路幅が確保されているため高所作業車が余裕を持って入ることができる。

このハウスの最大の特徴は、柱と奥行梁の剛接合により、従来設計のハウスで用いられていた内部筋交いを削除した点である。これにより従来はハウスの奥行方向に限定されていた畝立てを間口に対して平行方向に設定することも可能となり、栽培の自由度が大きく広がった


ハウス内部の筋交いをなくしたため、間口に対して平行方向にも畝立てが可能になった。写真は栃木県宇都宮市で花生産・販売を行う有限会社エフ・エフ・ヒライデの「SLC66」の様子。

さらにアーチ部は、従来タイプでは奥行き方向に一定間隔で入っていた鉄骨材を廃してピッチの大きいパイプで構成することで陰になる部分が少なくなり、ハウス内に注ぎ込む日射量が大きく増大した


パイプで構成されたアーチ部は採光性が高い。

プロの視点から無駄をそぎ落とし
こだわりを凝縮した
プロ仕様のハウス

さらにSLC66は従来設計のハウスと比べて鉄骨材を約3割削減することで、大幅なコストダウンが可能となった。同時に独自の強度設計により耐風速50m/sの強度を実現。もちろん施設園芸協会の構造診断をクリアしている。
「神保さんが建てた6×6ハウスは今回が2棟目。1棟目は13年くらい経っていて、台風のときも1mの積雪のときもびくともしませんでした。耐風速50m/sの構造計算に加えて実績としても充分です」と大山さん。


写真手前が新設棟(軒高5m)、奥が13年前に建てた6×6シリーズ(軒高4m)。

今回新設したハウスを施設費全体の中の構成比で見てみると、約5割がハウス(鉄骨材+被覆材)で栽培システム2割、残り3割が付帯設備(カーテン・暖房・電気)となっている。ハウスのウエイトが意外と大きくてシステムと付帯設備のウエイトが低いのは、神保さんの意向が反映されている。
「付帯設備はお金をかけようとしたらいくらでもかけられますが、経験から『ここはこれくらいでいい』という加減がわかるので削っています」。

トマトのプロとしての経験から必要のないものをそぎ落とす一方で、採光性の良い梨地の被覆材を採用するなどトマトのプロとしての研究も怠らない。そんな神保さんのこだわりが凝縮したプロ仕様のハウスなのである。

 

問い合わせ

サンキンB&G株式会社
TEL:06-6539-3221


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