マイクロプラスチックを出さない農業へ! 『ペースト2段施肥』を活用した実証が進行中

 

東北の研究者が検証する
ペースト2段施肥技術

この『ペースト2段施肥』を活用して、持続可能な農業を実現しようとしている研究者が東北にいる。株式会社パディ研究所代表取締役所長の小野寺恒夫さんと、農研機構東北農業研究センター上級研究員の松波寿典さんだ。小野寺さんが教えてくれた。

「私達が共同で検証しているのは、省力・低コスト化と環境負荷を低減できる『小苗疎植とペースト2段施肥を組み合わせた栽培方法』です。省力・低コスト化技術としては、これまで高密度播種による苗箱数削減が行われてきましたが、高密度播種では苗がムレてしまい、移植適期が短くなってしまいます。そこで私達は逆に、種子量を減らして健康な小苗を移植する疎播にすることで苗箱数を減らす栽培方法を採用。そこにマイクロプラスチックを出さないうえに欠株補償作用の期待できる『ペースト2段施肥』を融合させて、実証を行っています」。


宮城県登米市に本拠地を置く株式会社パディ研究所代表取締役所長の小野寺恒夫さん。

「普通は5~6本植えますが、この疎植では2本。だから苗箱を大幅に減らすことができ、省力化が可能です。ペースト施肥は初期成育が良く、苗の活着が良い。ですから、疎植が気になるかも知れませんが、昔の手植えと同じように元気な苗ですからシッカリ分けて、安定した収量が得られるのです」(小野寺さん)。

小野寺さんと共同で検証を行いつつ、別の実証を行っているのが松波さんだ。ペースト肥料にJAS適合の有機肥料(魚粕)を活用した検証を行っている。


農研機構東北農業研究センター上級研究員の松波寿典さん

「疎播にすることで苗は健康に育ちます。苗半作という言葉があるように、健康な苗を育てることができる疎播は理にかなった栽培手法といえます。健康な苗ならば気象変動にも対応しやすいですし、雑草にも対抗できます。この健康な苗が備える特徴は、有機栽培にマッチしている、と言い換えることができるのです。苗が強ければ、農薬がなくても、少しくらい雑草があっても、稲は元気に育ちます。

私が行っている検証では、疎植とともに、JAS適合の有機ペースト肥料を側条と深層とに施肥しています。深層の肥料は、雑草の根は届かないのに、稲の苗の根だけは届く。だから稲が優先的に養分を使うことができます。三菱農業機械の施肥機は上下2段の吐出量をそれぞれに細かく調節できますから、圃場の条件に合わせやすい。この検証でも大いに役立っています」(松波さん)。

目標ではなく成すべきこと
次世代へと進化する施肥技術

おふたりが行っている検証は結果も良好であるという。小野寺さんは現在、疎播するための播種機を機械メーカーと共同開発している。播種機を新品で買い替える必要がないよう、播種機に後付けするアタッチメント方式とすることで、普及を目指すという。これは期待できる。

松波さんは「疎播+『ペースト2段施肥』は有機にも適した栽培方法です。持続可能な農業というのは、今やお題目ではありません。私達の世代で必ず実現せねばならないタスクといえます。それを実現する一助になれるように、これからも検証を続けて行きます」と語ってくれた。

古くて新しい技術『ペースト2段施肥』は、まだまだ進化を続けている。ほかにも、天候に左右されず、雨天でも田植えが行えるのもユーザーフレンドリーなペースト施肥田植の特徴だ。水稲生産の持続可能性を高めてくれる技術として、生産者の方々には是非、導入を検討してほしい。

問い合わせ

三菱マヒンドラ農機株式会社


文:川島礼二郎

AGRI JOURNAL vol.24(2022年夏号)より転載

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