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サカタのタネ、低コストでモニタリングを行える「アルスプラウト エア」を発表

サカタのタネが主催する商談会「サカタフェア」が開催された。編集部が注目したのは、環境制御システム「アルスプラウト」のモニタリング向け新モデル「Arsprout Air」と次世代資材だ。

サカタのタネ主催の
「サカタフェア」

サカタのタネが主催する商談会「サカタフェア」が、2024年1月11日(木)、パシフィコ横浜で開催された。サカタのタネ自社ブース以外にも、100を越える資材メーカーの展示ブースが並び、ステージには「データとトレンドから読む花き産業の行方」と題して株式会社大田花き代表取締役 桐生進氏の記念講演が行われたほか、「実演販売員 vs SAKATA YouTuber」と題したスペシャル対決や人気イベントの「大抽選会」が開催されるなど、500名以上の来場者が集まった会場は例年以上に活況であった。

今回のイベントテーマは「みらいの羅針盤 みつかる横浜」。サカタのタネは昨年、創業110周年を迎え、農業・園芸に幅広く奥深い知見を有している。「みらいの羅針盤 みつかる横浜」とは、そんなサカタのタネが未来を見据えて紹介する製品・サービスから何かを見付けてほしい、という願いが込められたのだろう。

アルスプラウトから派生した
モニタリング専用モデル

記者見学会において、サカタのタネ代表取締役の坂田宏氏が環境制御システム「アルスプラウト」のモニタリング向け新モデルとして「Arsprout Air(アルスプラウト エア)」を発表した。共同開発したアルプスラウト社からは代表取締役の戸板裕康氏が出席(タイトル写真)した。

既存の「アルスプラウト」は機能選択の自由度が高く類似製品の半額程度で導入できるコストパフォーマンスの高さを誇る環境制御システムだが、日本の施設生産者は、まだその前段階に多くいる。栽培環境の「見える化」が実現できていない施設生産者が大多数なのだ。

「アルスプラウト エア」は、そんな「これからデータ活用を始めたい!」という、スマート農業の第一歩を踏み出したい方に向けた製品。温度・湿度のほか、オプションでCO2濃度と日射をモニタリングできる。

また、「アルスプラウト エア」は、子機からの情報を集めてクラウドに送る親機+電源(別売りのソーラー電池を使用可)と、ハウスごとに設置して各センサーからの情報を集める子機で構成されており、子機は電池式だから電源がないハウスや露地でも使用できる。さらに、親機と子機とを無線接続できるため、有線接続が難しいハウスや圃場でも子機ごとにモバイル回線を契約せずに利用できる。

別売のアルスプラウト エアの親機に電源を供給するソーラー電池セット

オープン価格だが、「アルプスラウト エア」のみなら15万円程度、ソーラー電池セットが5万円程度と見込まれる。スマート農業入門者への敷居を下げるだけでなく、複数のハウスを低価格でモニタリングしたい人にとっても、有用な製品となりそうだ。



植物と地球に優しい
新しい資材

記者説明会で坂田宏氏は「今回の特徴として、環境配慮型製品の展示が増えており、来場者の関心が高まっている」と語っており、サカタのタネも環境配慮型資材を複数展示していた。
「ジフィーセブンC」は良質な100%ココピートを圧縮・円柱形に固化して生分解性プラスチック(PLA)で包んだ、イチゴの苗取りに適した育苗資材。縦の根がよく発達し根鉢が構成されにくい、ポット苗の土入れ作業が不要だから作業効率が高い、圧縮されているから保管や輸送の効率が高い、などメリットが多い。

「グローブロック」もココピートを圧縮・固化して生分解不織布で包んだ次世代育苗資材。「ジフィーセブンC」は円柱だが「グローブロック」は四角柱。ブロック気相・液相のバランスが良いから2次根・3次根の発言率が高い、根量・根域が増加するから成り疲れしにくい、使用後は畑にすき込み土壌改良材として使用できる、未使用時は圧縮されているから保管・輸送の効率が高い、といった特徴がある。「グローブバッグ」は「グローブロック」と組み合わせて使うことで、根張り向上、細根増加による吸肥率向上が期待できる。

これまでは使用したポットやロックウールを廃棄するのが当然だったが、ここに紹介した3製品はいずれも土壌改良材として利用できる。時代は変わりつつあるのだ。商談会では、ここに掲載した以外にも、野菜や花きの新品種や推し品種、昨年リニューアルされた「サカタマモル」シリーズ、昨年発表されたばかりの土壌改良材の新製品「パワフルシリカ」など、数多くの魅力的な製品が展示されていた。参加者はそのなかから、未来につながる製品を見つけることができたことだろう。



DATA

サカタのタネ公式ホームページ


取材・文/川島礼二郎

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